地中海の風が吹くリゾート、ジェゾロで
ヴェネツィアから車でおよそ1時間。
地中海の青い海と白い砂浜が広がる、イタリア屈指のリゾート地ジェゾロ。
夏には欧州中から観光客が集い、夜にはビーチ沿いのカフェやバールが賑わうこの街が、まだ肌寒い3月の空気の中、世界のキックボクサーたちの聖地へと姿を変えた。
未来的なフォルムが目を引く「パラインヴェント」。
パラッツォ・デル・トゥーリズモ内にあるこのアリーナに、46か国からおよそ2,500人の戦士たちが集まった。
彼らはそれぞれの国、それぞれの物語を背負い、この海辺のリングに立つためにやって来た。

3月5日、開幕のゴングが鳴った
大会の幕が上がったのは、2025年3月5日(水)の午後。
選手たちは計量とメディカルチェックを終え、開幕初日の張り詰めた空気の中に身を置いた。
翌6日からは戦いが本格的に始まり、リングでは予選と決勝が次々と繰り広げられた。
ジュニアからシニア、それぞれのカテゴリーで息を呑むような熱戦が続いた。
フルコンタクト、ライトコンタクト、キックライト、ポイントファイト、タタミ(※試合会場に敷かれたマット)―ひとつひとつの試合が、彼らの物語の続きを描いていった。
パラキックボクシングが告げた、もう一つの物語
大会4日目の3月8日(土)には、パラキックボクシングのデモンストレーションが行われた。
そして最終日の3月9日(日)には、正式なパラキックボクシング競技も開催された。
障がいを抱えながらも、力強く立ち上がり、一歩一歩、リングに向かう彼らの姿は、誰の胸にも深く刻まれた。
この舞台は、誰にとっても平等であり、誰にとっても過酷だった。
だからこそ、そこに立つ価値があったのだ。
最終日、3月9日に栄冠が決まった
戦いのクライマックスは、最終日の3月9日(日)に訪れた。
イタリア・オープンのジュニア、シニアそれぞれのカテゴリーで「グランドチャンピオン」が決まった。
ライトコンタクトとキックライトのトーナメントも、この日にすべての頂点が決まった。
長い道のりを歩んだ末に、勝者の手が高々と掲げられるその瞬間まで、選手たちは自分自身と向き合い続けていた。

この舞台を支えた、公式スポンサーとして
この大会を公式スポンサーとして支えたのが、格闘技ブランド「RDX Sports」だ。
担当者はこう語った。
世界最高のキックボクサーたちが集うこの大会をスポンサーとして支えることができ、誇りに思います。
私たちの使命は、WAKOと共に、この美しいスポーツの魅力を世界に広めることです。
ぜひ、このリングの上で繰り広げられた魂のぶつかり合いを感じていただけたら嬉しいです。
選手たち、スタッフたち、そしてスポンサー。
彼ら一人ひとりの力が重なり合い、大会という物語が紡がれた。

その場にいなくても、伝わるものがある
ジェゾロの海風は、ただ心地よいだけではなかった。
それぞれの選手の物語、戦い抜く意志が、潮の香りとともにこの街に満ちていた。
現地にいなかったとしても、その熱は、確かにあなたの胸にも届いているはずだ。
勝者の名が呼ばれるその瞬間までに積み重ねられた時間こそが、何よりのドラマだった。
