BRIDGE OF DREAMS 大久保 祐選手

Bridge of dreams 大久保 祐選手

インタビュー | 2024.11.13  Wed.

1年間戦えなかった不安を、ようやく一蹴できた。

アマチュアキックボクシング大会「THE TEMPEST」第一回大会で55キロ級優勝、さらに初代MVPを獲得した大久保 祐 選手。

硬式空手で数々の学生タイトルを手にし、キックボクシング界に進んだ彼は、プロを見据えながら着実に実力を磨いています。

今回は、プロデビュー目前の大久保 選手に、これまでのキャリアと未来への思いについて伺いました。

大久保 祐 (おおくぼ たすく)

生年月日:2007年11月2日

出身地:愛知県

所属:修徳会

経歴:STC35㎏、45㎏ 王者
Big Bang50㎏ 王者(2回防衛)
WINDY 46㎏ 王者
ALL JAPAN 50㎏ 王者
THE TEMPEST 55kg 王者

復帰戦を飾るにふさわしい『THE TEMPEST』のタイトル

ー今日はインタビューよろしくお願いします。まずは、自己紹介をお願いします。

大久保)修徳会 所属の大久保 祐(おおくぼ たすく)です。年齢は17歳です。

―RDXがサプライヤーを務める「THE TEMPEST」第一回大会で55キロ級優勝、さらにMVPを獲得されましたが、この大会を振り返っての感想を教えてください。

大久保)この大会は、自分にとって復帰戦でした。丸1年間試合から離れていたこともあって、不安な気持ちがありました。1回戦目は少し緊張してしまい、余裕を持った試合運びができず、危うい場面もありました。しかし、決勝では気持ちを切り替え、自分の動きをしっかりと出すことができ、KOで勝利することができました。結果的に、良い復帰戦になったと思います。

「THE TEMPEST」第一回大会では優勝とMVPを獲得した

―この1年間試合から離れていた理由について、教えていただけますか?

大久保)最初、分離症になったことで練習ができないのが続いてました。それに続いて年末に練習で鎖骨を折って手術をしたことによって長い間試合に出れませんでした。

―長い期間、試合ができないことに不安を感じられたりしたんじゃないですか。

大久保)はい、結構不安でした。

―リハビリ期間中はどのように過ごされ、練習にはどのように向き合っていましたか?

大久保)自分を高めることで気を引き締めて、自分ができる練習をやってましたね。腰が痛い時は腰を使わないような技術の練習とか、鎖骨を折ってしまった時は、鎖骨を動かさないようにして練習をしていました。

―大変な時期を乗り越えての「THE TEMPEST」出場だったと思いますが、改めて大会の雰囲気について教えていただけますか?

大久保)大会の雰囲気は、知っている強い選手もいれば、全く見たことのない強い選手もいて、レベルの高さを感じました。また、盛り上がりもすごくて、本当に良い大会だったと思います。

空手の第一印象、それは「かっこいい」だった

―格闘技との出会いについて伺いたいのですが、最初は硬式空手をされていたそうですね。硬式空手を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

大久保)最初にお兄ちゃんが硬式空手をやっていて、練習についていくうちに僕もやりたいと思うようになりました。そのとき、お父さんが最初にお兄ちゃんと組み手をさせてくれて、次に僕にもやらせてくれることになったんです。それでやってみたら意外とできて、「じゃあ頑張ってみよう」という流れで始めることになりました。

空手の世界でも多くのタイトルを獲得した

―始める前は、空手に対してどのような印象を持っていましたか?

大久保)怖いとかは全然なくて、早くやりたいなっていう思いが強かったです。

―最初から空手を楽しめていたんですね。空手を始める前と、実際にやってからでは、空手に対するイメージは変わりましたか?

大久保)変わらなかったですね。最初はかっこいいとか、楽しそうだなって思い始めて、空手やってる間はずっとそういう気持ちでやっていました。ただ小学生の頃、空手を辞めたいと思った時期がありました。それは、友達に「空手をやってるなんて怖い」と言われたのがきっかけでした。その言葉が少し嫌だったんです。格闘技をやっているというだけで人から怖がられるのも、正直つらかったんですよね。

―意外ですね、こうやって話してると凄く穏やかな性格に感じます。

大久保)話してみると「全然違うね」と言われることが多いんです。でも、第一印象では「怖い」って思われることが結構あるみたいです。

―空手の練習がきついから辞めたいと思ったわけではなく、周りの反応を見て少し考えてしまった、という感じだったんですね。他にも空手時代で印象に残っているエピソードはありますか?

大久保)最初の公式戦は1回戦で負けてしまい、それがすごく悔しかったんです。お父さんは仕事が休みの日に、ずっと練習に付き合ってくれて、相手の対策を考えながら練習してくれました。家にいるときは自主練もするようになり、次第に成長を実感できました。

同じ道場の強い子がずっと優勝していて、その子には練習でも試合でも勝てなかったんです。でも、何回も試合を重ねるうちに、点差がだんだん縮まっていきました。最終的に延長戦になり、体重勝負で僕が軽かったため、勝つことができました。それがきっかけで自信がつき、その後はその子にも勝てるようになり、ほぼ負けなくなりました。

那須川天心選手が僕のキックボクシング挑戦の原動力

―自分の中で立場や意識が変わった試合だったんですね。現在はキックボクシングの選手として活躍されていますが、キックボクシングに転向しようと思った理由は何ですか?

大久保)最初は道場の知り合いに誘われて、「キックボクシングやってるよ」と言われたのがきっかけでした。最初はまだ空手の方が楽しくて、キックボクシングはあまりやりたくないと思っていたんです。でも、だんだんやっていくうちにキックボクシングが楽しいと感じるようになり、小学6年生ぐらいから本格的にキックボクシングを始めようと思いました。

―那須川天心選手を目標としていると他の記事で拝見しましたが、彼のどのような点に魅力を感じていますか?

大久保)スター性だけで注目される選手もいる中で、天心選手は本当の強さを持っていて、かつスター性も兼ね備えている。そこがかっこいいと思いますし、技術の高さやパフォーマンス全てを含めて、魅力的だなと感じています。それが、僕がキックボクシングを本格的にやろうと思ったきっかけでもあります。

―天心選手は攻撃だけでなく、その守備力も高く評価されていますよね。プロとアマチュアの違いは、ディフェンス力にあるともよく言われています。大久保選手がプロに上がるにあたり、守備の部分について今後どうしていきたいと考えていますか?

大久保)そうですね、僕はちょっと攻撃頼りなところがあるので自分の攻撃中にしっかりとディフェンスを考えることをちょっと今課題にしてますね。

中学時代に5つのタイトルを制覇

―今後、ご自身がプロ選手として活躍するために、大切なことは何だと思いますか。

大久保)格闘技を楽しむことを忘れないように心がけています。それと、プロになったからと言って、1人で戦っているわけではないということを意識しています。周りのサポートがあってこそ、自分は試合に出られるし、主催者の方々にも支えられて試合が実現していると感じています。その感謝の気持ちは絶対に忘れないようにしています。

―過去にはプロ興行にも出場されていますが、アマチュア大会とプロの興行では、雰囲気やプレッシャーなどにどのような違いを感じますか?

大久保)緊張感が違いますね。アマチュアでは防具をつけて安全面が確保されてるんですが、プロ興行では防具が軽くなり、素足で戦うことになります。攻撃が効くこともありますし、逆に効かされる恐怖感も強く感じました。

キックでプロになり、ボクシングにも挑戦する夢

―恐らく来年中にはプロ選手としてデビューされる可能性が高いとは思うのですが、プロ格闘家を目指す中で、学校との両立は大変ですか?

大久保)学校を辞めてプロに専念している人たちを考えると、自分は練習量が足りていないのではないかと不安になることもあります。でも、その分、短い時間で質を高めていこうと常に考えています。それに、学校には友達もいて楽しいですし、しっかり休める場所だと思っています。

―学校生活を楽しめているのはとても良い事ですね。部活とかは今までされていなかったんですか?

大久保)部活は小学校でサッカー部に入っていました。サッカーもすごく好きだったし、中学ではバスケ部に入ったんですけど、やっぱり格闘技が面白くて自分に合ってると思い格闘技に集中することにしました。

―今日は色々お話を伺えて、これからがとても楽しみだと感じました。それでは最後に、格闘家として今後の目標を教えていただけますか?

大久保)今後の目標はプロの団体でチャンピオンになって世界に出て、いずれはボクシングでも挑戦してみたいなって思ってます。これからも応援お願いします。

―今日は練習前のお忙しい中ありがとうございました。これからの活躍も楽しみにしています。

大久保 祐 選手

RDX Japan編集部
インタビュアー  上村隆介

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