GLORY BEYOND DREAMS 濱口 奏琉 インタビュー

インタビュー | 2025.7.8 Tue

MMAはアート。リングの外でも、僕のストーリーを伝えたい

2022年、DEEPフューチャーキングトーナメントを制覇し、現在はプロ格闘家として活躍する濱口 奏琉選手。

幼少期から極真空手を学び、フルコンタクト空手の国際大会で2連覇するなど輝かしい実績を積み、中学では柔道家として大阪府の強化選手として活躍。高校・大学ではレスリングに打ち込み、西日本新人王にも輝いた。

アマチュア時代からRDXのアンバサダーを務め、積み重ねた経験と挑戦で理想の階段を一歩ずつ昇る、期待の若手格闘家だ。

今回は、直近の試合からこれまでのキャリア、そして彼の思想まで深く掘り下げたインタビューをお届けする。

濱口 奏琉(はまぐち そうる)

生年月日:2003年3月3日
出身地:大阪府

経歴:幼少期から極真空手を習い、フルコンタクト空手の国際大会で2連覇を果たす。中学時代は柔道に取り組み、大阪府の強化選手に選出。その後、浪商高校に進学しレスリングを始め近畿大会3位、大学ではレスリング西日本新人選手権で優勝を果たす。
2022年には総合格闘技を始めてわずか半年でDEEPフューチャーキングトーナメントを制覇し、翌年7月にDEEPでプロデビュー。現在はプロとして通算5勝3敗の戦績を収めている。

試行錯誤の末に掴んだ
最適なフィジカルで戦えた

-RDXのアンバサダーとして、もう1年以上お付き合いいただいておりますが、今回が初めてのRDXからのインタビューとなります。まずは、2025年6月29日(日)に行われた神酒龍一選手との試合での見事なTKO勝利、おめでとうございます!試合を振り返って、今どのようなお気持ちでしょうか?

濱口)プラン通りに試合を進められたことが、今回一番の収穫でした。相手が積極的に前に出てくるタイプだと事前に分析していたので、それに合わせて後ろ蹴りでボディを狙う練習を徹底してきました。それが試合でもしっかりハマって、狙い通りの展開に持ち込めたと思います。

前々回の敗戦を経験してからは、環境やコンディションの作り方を徹底的に見直し、どうすれば試合当日に最高のパフォーマンスを出せるかということをずっと考えて準備してきました。その積み重ねが、今回の結果にしっかりと繋がったのだと感じていますし、自分にとって大きな自信になりました。

-試合を見ていても、終始冷静で優勢に進めていた印象でした。メンタル面やコンディション面はいかがでしたか?

濱口)これまでの試合では、正直コンディション作りに悩まされることが多かったです。減量幅が大きすぎたり、調整方法も苦労したりして。試合当日は体が思うように動かない。自分の力が出し切れずに悔しい思いを何度もしました。そこがずっと課題だったんですが、タイでの練習を取り入れて、減量方法やルーティンを見直したことで、今回は理想的な状態に仕上がりました。タイでトップ選手たちと練習してきたことでメンタルも強くなり、自信を持って臨めました。

-Instagramの投稿で、タイでのトレーニングの様子も拝見していました。実際に、タイでのトレーニングはいつ頃から始められたのでしょうか?

濱口)去年の9月からです。試合前に1ヶ月ほどタイでキャンプして、最後の2〜3週間は日本で仕上げるスタイルです。弟はアメリカの大学でレスリングをしていてジョニー・ケース(元MCCライト級王者)と一緒に練習していることもあって、その縁でタイのジムを紹介してもらいました。

-タイでの環境は、日本と比べて、どのような点が特に魅力的だと感じましたか?

濱口)世界中のトップ選手が集まるので、レベルの高い練習ができます。格闘技に集中できるし、日本にいるよりも自分の課題や実力を冷静に見つめ直せる場所ですね。RDXアンバサダーの武田光司選手とも現地で一緒に練習する機会があって、日本人のトップ選手と関われるのもありがたいです。

タイでの格闘技漬けの日々に「幸せ」と語る

嫌々始めた空手
気づけば格闘技漬けの毎日

-武田選手とはタイで初めてお会いされたんですね。ここで少し過去のお話も伺いたいのですが、そもそも格闘技を始められたきっかけは何だったのでしょうか?

濱口)4歳の時に親に連れられて道場に入ったのが始まりです。少しやんちゃだったし、落ち着きもなかったので礼儀作法を学ばせるためだったみたいです。最初は毎日嫌で、道場から逃げ出していました(笑)

-最初は自主的に始めたわけではなかったんですね(笑) いつ頃から楽しいと思えるようになったのですか?

濱口)小学校で大会に勝てるようになってからですね。本気で目指そうと思ったのは中学で、極真の国際大会や全日本で結果を残せるようになって、「自分もできるかも」という自信が出ました。その頃にUFCとか見てこの舞台でやりたいなって強く感じたのでMMAをやろうって思いました。

空手で証明した実力と誇りが今に繋がる

-大学時代は、レスリングとMMAの二刀流で活動されていましたが、レスリングを始めたのは、MMAを続けるうえで必要だと感じたからでしょうか?

濱口)そうです。中学では空手と柔道をやっていて、高校からはMMAに必要だと思ってレスリングに打ち込みました。入学前から「MMAでプロとしてやりたい」と先生に伝えてはいたので理解した上でトレーニングの指導を受けていました。

-レスリングから学んだこと、今に生きているものは何ですか?

濱口)一番はやっぱり、体の強さですね。人と肌を合わせてぶつかり合う感覚や、相手を力だけじゃなく技で崩していく駆け引きは、レスリング特有だと思います。相手の重心を感じ取って、一瞬のタイミングで崩したり、関節を引っ掛けて倒したりするテクニックは、他の競技ではなかなか得られないものです。あの経験があったからこそ、今の総合でも強いプレッシャーをかけられるし、グラウンドの展開でも冷静に戦える自信につながっています。体の使い方や体幹の強さも鍛えられたので、打撃と組み合わせる上で、すごく重要な土台になっていますね。

-大学卒業後はMMA選手としてすぐプロ格闘家としてスタート出来たんですね。

濱口)はい、昨年卒業して今は仕事として格闘技に取り組んでいます。大学時代は学校や家族の支えがあったけど、学業との両立は大変でした。学生時代は練習時間も限られていましたが、今は毎日、格闘技のことだけを考えて、目の前の課題と向き合えるのがありがたいです。

-学生時代にDEEPフューチャーキングトーナメントで優勝されたのは、本当に大きな経験でしたね。あの優勝が、今のご自身の原動力にもなっているのではないかと感じます。

濱口)あの当時は総合をやりたいという気持ちはずっとあったんですが、当時はまだどうやって始めればいいのかわからなくて。そんな時に、練習先でお世話になっていた方がDEEPの関係者を紹介してくださって、「こういう大会があるから出てみないか?」と声をかけてもらいました。いざ出場してみると、思っていた以上に周りのレベルも高く、緊張もしましたけど、なんとか優勝することができて、「やればできるんだ」と強い自信になりました。その後はすぐにプロデビューの話をいただいて、そこから一気に道が開けた感覚でしたね。

-現在はDEEPに出場をされていますが大会自体の印象はいかがですか?

濱口)すごく良い興行だと思っています。選手に対してケアが行き届いていて、試合前の準備や当日のサポートも手厚いですし、何より選手のことをちゃんと考えてくれる「選手ファースト」の団体だと感じています。

マッチメイクもしっかり考えられていて、自分が成長できる相手やタイミングを見て組んでくれるので、毎試合がすごく勉強になりますし、やりがいもあります。試合が欲しいとお願いすれば、すぐに動いてくれる対応の早さもありがたいですね。さらに、RIZINへの繋がりもあるので、結果を出せばちゃんと次の舞台に繋げてくれる信頼感があります

-弟の来音(らいお)さんはアメリカの大学でレスリングをされていますが、弟さんとも格闘家としての相談もされますか?

濱口)はい、今はアメリカでカレッジレスリングをしています。大学のシーズン中はチームで試合に出ていて、オフシーズンにはアマチュアMMAの試合も出場していて、少しずつ総合で戦えるように準備も進めているようです。将来的には兄弟そろってアメリカで生活しながら、一緒に練習できる環境をつくれたらいいなと思っています。小さい頃からずっと一緒に切磋琢磨してきたので、また同じ舞台で頑張れる日が来たら嬉しいですし、兄弟で刺激しあいながら成長していけたらと思います。

濱口奏琉さんの弟、濱口来音(らいお)さん(写真:右)

海外選手も思わず驚き、
誇りに思えたRDXアンバサダー

-兄弟そろってベルトを獲得したら、とても話題になりそうですね。そういえば、RDXのアンバサダーに応募していただいた時は、まだアマチュアの頃でしたよね?

濱口)はい、当時はまだレスリングとMMAを両立していた時期でした。InstagramでRDXのアンバサダー募集を見つけて、すぐに応募しました。海外でとても有名なブランドだというのも知っていましたし、防具などを提供していただければ、日々の練習が本当に助かるだろうと思ったんです。実際に日本のアンバサダーに選んでいただいて、とても誇らしい気持ちになりました。

-ちょうどご連絡をいただいた頃、「アマチュアの若い選手もぜひ迎えたいね」と代表と話していたタイミングだったので、とても良いご縁でした。実際にRDXのギアを使ってみた印象はいかがでしょうか?

濱口)グローブはフィット感あって使いやすいですし、ファイトパンツやラッシュガードなどは着心地が良くて重宝してます。毎日の練習でギアがすぐ消耗するので、とても助かっています。タイでは一日3〜4部練習することもあるので、ギアの消耗がめちゃくちゃ早いんです。海外でトレーニングしてると海外の選手に「お前にはRDXがスポンサー付いてるのか!?」と驚かれることも多くて(笑) 世界的に有名なブランドが付いてくれるのは嬉しいですし誇らしかったです。

RDXアンバサダーとして、RDX製品をメインに愛用

MMAはアート。
リングの外でも、僕のストーリーを伝えたい

-そう言っていただけると、私どもとしてもとても嬉しいです。それでは、今後の短期的な目標と、長期的なビジョンについて教えていただけますか?

濱口)まずは目の前の試合に集中して次の試合でしっかりKO勝ちをして、RIZINの舞台に立つことが当面の目標です。できれば年内、遅くても来年にはそれを叶えたいです。最終的には目標であるUFCで戦う日本人選手になることです。

-今後RIZINや、その先のUFCで戦うために、どんな力が必要だと考えていますか?

濱口)やっぱり勝つことが一番大事だと思いますけど、それだけじゃ足りないと思います。勝ち方、そして試合内容や見せ方もすごく大事だと感じています。観ている人の心に残る試合ができるか、自分がどういう選手なのかをしっかりとアピールできるか、そこが大舞台に立つための鍵だと思います。特にUFCのような世界最高峰の舞台は、ただ強いだけじゃなく、ストーリーやキャラクターも求められると思うので、強さに加えて自分自身の魅力や存在感をもっと出していけるようになりたいですね。勝ち星を積み上げながら、印象に残る選手になれるように意識していきたいです。

-最後に、濱口選手にとって「プロフェッショナル」とはどのようなものですか?

濱口)僕にとってMMAはアートです。戦うだけでなく、リング外での立ち振る舞いや礼儀、見せ方も含めてプロフェッショナルだと思っています。すべての行動に責任を持ち、見られている意識を持ち続けることが大事だと考えています。

-今後の活躍がますます楽しみになるインタビューでした。更なる大きな舞台で戦う姿を期待しています!

編集後記:まだ22歳とは思えない顔つき。プロ選手になってから、さらに表情が変わったように感じました。アンバサダーの中でも、とりわけ多くのギアを使い込んでいる姿からも、彼の練習量の多さがうかがえます。そんな、ひたむきに格闘技に向き合う彼の姿を見ていると、ぜひサポートしたいという気持ちになります。
ネクストブレイクアンバサダーからプロ選手、そして世界へ。RDX JAPANとして初めてのモデルケースになるのは、彼かもしれない。そんなことを強く感じたインタビューでした。(RDX Japan編集部)

インタビュアー  上村隆介

濱口 奏琉

RDX sports japanは
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