インタビュー | 2024.3.1 Fri
『絶対にやり返すって気持ちでひたすら練習してます』
彼は5年間負けなし20連勝という驚異の連勝記録を持つ鈴木真彦選手。
これまで「第7代RISEバンタム級王者」「WBCムエタイバンタム級王者」など、数々のタイトルを獲得してきました。
しかし2023年12月10日に行われた「RISEバンタム級タイトルマッチ」で敗戦したことで5年間保持してたベルトを明け渡してしまいました。
そして、もう一度チャレンジャーとして2024年3月17日に行われる「RISE ELDORADO 2024」に覚悟をもって立ち向かいます。
今回は、鈴木選手に過去を振り返ってもらい、次戦への情熱と意気込みに触れることができました。
鈴木真彦(すずき まさひこ)
所属:フリー
生年月日:1997年2月21日
身長:168cm
出身地: 大阪府八尾市
経歴:
第7代RISEバンタム級王者
WBCムエタイ日本統一バンタム級王者
HOOST CUP日本バンタム級王者
その他、多数
覚悟を持って挑む「RISE ELDORADO 2024」
―3月17日にはRISE ELDORADO 2024の試合が控えています。現在のコンディションはいかがでしょうか。
鈴木)コンディションはいい感じです。あと2週間少しで仕上げていく感じですね。
(※インタビューは3/1(金)に行われました)
―再戦することになった金子晃大選手とは、THE MATCH 2022で対戦した経験があります。再戦について、どのように感じておられますか。
鈴木)金子選手との前回の試合は、K-1王者とRISE王者というチャンピオン同士の戦いでした。僕はその後敗戦してしまっているんですけど、金子選手は実力をつけて、結果も残している。そういった中で僕にやり返したいって言ってくれてるのは、金子選手の中でけじめをつけたいんだろうなと思っています。
―昨年の12月の試合で、RISEバンタム級王座を明け渡す形となりました。どのようなことを思いながら、この3ヶ月間を過ごしてきましたか。
鈴木)ベルトを失ったショックも大きかったですけど、今年に入って気持ちもしっかり切り替えて、まずはRISEのベルトを取り戻すのが目標でした。
その中でこの試合のオファーが来て。金子選手にここで勝つことによって、RISEのベルトにも自然に近づくと思います。あとは、K-1で去年負けてる選手がいるのでリベンジというか。この一戦は自分の中ですごく大事だと思っているので、覚悟を持って挑みたいです。
―敗戦の後、次のステップに向けてどのように進んでいくべきか悩むことはありましたか。
鈴木)ベルトを失って思ったのが、まだ自分の夢である「1番になること」というのを諦めきれないなと。自分が格闘技をやり始めた頃の気持ちを思い出して、「行くしかない」と覚悟を決めています。
魔裟斗さんの試合を見て格闘技に魅了された
―幼少期の頃をお聞かせください。格闘技に出会ったのはいつ頃でしょうか。
鈴木)両親は格闘技好きという訳でもなくて、お父さんが阪神タイガースが好きなので子供の頃は野球を見るぐらいでした。
僕自身は身体を動かすのが好きで、活発な性格でした。格闘技をやりたいと思ったのは、小学校低学年の時にK-1の魔裟斗さんの試合を見て「かっこいい!」と思ったのがきっかけです。
―2月に行われたK-1 AWARDS 2023では憧れの魔裟斗さんにもお会いしましたよね。
鈴木)2月にK-1の表彰式で初めてお話させてもらって、「テレビの人や!」みたいな感じでしたね(笑) 魔裟斗さんの影響で格闘技を始めたので、頑張っててよかったなというか、嬉しい気持ちになりました。
―最初に始めた格闘技は何だったのでしょうか。
鈴木)道着を着てキックボクシングをする、「グローブ空手」を始めました。僕自身が結構負けず嫌いで、やられたら「クソッ」てなるタイプの人間なので、恐怖心はなかったですね。
中学の部活は一応バスケ部に入ってたんですけど、キックボクシング優先でやっていました。ただ、その頃はまだプロになりたい気持ちは全くなかったですね。家の近くの公民館の教室に通っていて、楽しい習い事みたいな感じでした。
―小中学生の頃から賞を取ることは多かったですか。
鈴木)小学校ではあまり目立った賞はとっていなかったですけど、中学になってアマチュアの大会のベルトを取ることもあって、結構いい成績を残せたんじゃないかなと思います。
―プロを意識し始めたのはいつ頃ですか。
鈴木)中3ぐらいです。高校受験で将来を考えるタイミングで、キックボクシングを続けるかどうするかという感じになって。
自分の中で、キックボクシングを辞めるという選択肢はなかったですね。それでプロに行けるのであればチャレンジしてみようかな、と。
あとは、僕が影響を受けた先輩がプロの舞台で活躍していたので、「この人たちみたいになりたいな」と思ったのも大きな理由です。
―2013年にDEEP☆KICKでプロデビューされますが、デビュー戦で印象的に残ってる出来事はありますか。
鈴木)アマチュアとプロでは試合のやり方に違いもあるので、めちゃくちゃ緊張していたんです。でも、たまたまラッキーパンチが当たって、デビュー戦ですぐ勝っちゃったんですよ。
だから、あまり戦ったという感じはなかったですね。こういうこともあるんやなって。
―プロデビュー後、順調に勝ち星をあげていきますが、途中でスランプに陥ることなどはありましたか。
鈴木)僕はここまで順序よく来れてた方だと思うんですけど、今の時代って格闘家の全体的なレベルも上がっているし、しっかり研究してきている。
僕は結構、感覚的に『うわーっ!』て行くタイプで。相手に研究されても、倒せばいいやと思ったんですけど、うまくいかないこともあるんだなと。壁に当たったというか、強さだけじゃ上に行けないなというのは最近、結構思っていますね。
『絶対にやり返す』という気持ちで練習に打ち込んできた
―プロデビューしてから印象的に残ってる試合はありますか。
鈴木)那須川天心選手と2回戦っているんですけど、1回目に負けた試合が印象に残っています。
天心選手は僕より2つ年下なので、当時高1か高2くらい。うまく言葉にできないですが、スピードも早かったですし、とにかく強かったですね。
―試合に負けたときには、ご自身で負けた要因の研究や分析をされるんですか。
鈴木)基本しないですね。天心選手に負けてから「絶対やり返したろう」という気持ちでずっと練習していました。
―プロフィールを見て野菜全般が嫌いと書かれていて驚きました。減量時はどうされてるんですか。
鈴木)プロになって減量するようになってから、少し食べれるようになったというぐらいで、基本的にはあまり野菜が得意ではないんです。
食事管理については、自分で考えながら、割と好きなものを食べている感じですね。最近減量をしっかりして、体も出来上がってきました。
食べずに選手としてやっていけるなら野菜は食べないと思います(笑)
―日本の格闘技界の中で今後どういう役割を鈴木真彦選手は担っていきたいですか。
鈴木)たとえばK-1の魔裟斗さんのように、みんなが知っている選手がいた時代から、世間的には1回熱が下がっちゃっていると思うんです。もう一度、みんなにかっこいいと思ってもらえるように格闘技界を盛り上げていきたいですね。
あとは、僕の試合を見た人に何か感じ取ってもらえるような試合をしていきたいです。
―最後にお聞きします、鈴木真彦選手にとってプロとは何でしょうか。
鈴木)やっぱり、かっこいい生き様を見せていきたいなと思いますね。ただ戦って勝ちました、負けましたじゃなくて、その人の人生を見せるような。
キックボクシングは、プロのライセンスのような決まった規定がないスポーツ。だからこそ、自分の生きざまを見ていただいて、皆さんに何か感じ取ってもらいたいですね。
―ありがとうございます。まずは3/17の試合に向けて頑張ってください!
編集後記:インタビュー中には、「覚悟」という言葉が何度も登場し、負けたことによる挫折感を乗り越え、再びチャレンジャーとしてリングに立ち向かう強い意志が感じられました。そんな言葉の中で鈴木選手の野菜嫌いという発言は、会話に軽い笑いをもたらしました(笑)その一方で、野菜が苦手でも彼が成功する姿は、野菜嫌いな子供たちにも勇気を与えるかもしれません!まずは3/17に行われる試合を全力で応援したいとおもいます!
(RDX Japan編集部)
インタビュアー 上村隆介