GLORY BEYOND DREAMS ASUKAさん インタビュー

インタビュー | 2025.3.5 Wed

私自身、お客様から多くのことを与えられている

彼女はトレーナー、食育栄養コンサルタント、モデルとして幅広く活動する女性実業家、ASUKAさん。

もともと運動が苦手だった彼女が、たまたま入社したジムでフロント業務ではなくトレーナーとして採用されたことが、すべての始まりだった。

そこから現在に至るまで、さまざまな経験を重ねてきたASUKAさんに、これまでの歩みや転機となった出来事について語っていただきました。

ASUKA

生年月日:1986年10月29日
出身地:千葉県

REXEED RISE8 合同会社 代表
PERSONAL GYM LUANA店長

経歴:2児の母であり、トレーナー、食育栄養コンサルタント、モデルとして活動。現在法人化して5期目だが産後、女性の社会復帰に悩みながらも、ボディメイクと食の融合に注目。ジムトレーナーの経験を活かし、ボディメイクトレーナーや食育アドバイザーの資格を取得し、個人でパーソナルトレーナーやインストラクターとして復帰。その後、料理講師や食育栄養指導、セミナー講師など、一般から企業まで幅広く活動を展開している。

ニートから人生の転機へ、トレーニングジムとの出会い

ー本日はインタビューよろしくお願いいたします。ASUKAさんはフィットネスに関する活動をされていますが、具体的にどのようなお仕事をされているのか教えていただけますか?

ASUKA)私はパーソナルトレーナーとして、今年で業界13年目になります。一度業界を離れ、自分の好きなことを経験した後に再び戻り、個人での活動を始めて今年の3月で法人としては4周年を迎えました。

現在のメイン事業はパーソナルトレーナー業で、埼玉県吉川美南にあるパーソナルジムで、今年1月から店長を務めています。加えて、料理講師や食育・栄養のコンサルタントとして、企業・個人を問わずサポートを行っています。また、フィットネスアパレルブランドのプロデュースやモデルとしての活動も行っており、仕事の大きな柱は『食』と『フィットネス』の2つになります。

ー最初に就職されたのがフィットネスインストラクターということですが、幼い頃からスポーツが好きだったのでしょうか。

ASUKA)スポーツは全然です、むしろ嫌いで(笑) 中学生のときはテニス部に入ったのですが、当時は数名の仲の良い友達がいて、その友達と離れたくなかったんです。その子たちがテニス部に入ると言うので、『じゃあ私も!』という流れで入部しました。今思えば、社交的でもなかったし、結構流されやすい性格だったのかもしれませんね(笑)

元々はスポーツが苦手な所から始めたジムインストラクターと語る
(本人提供)

ー今のASUKAさんからは全然想像できないですね(笑)そんなにスポーツに興味がなかったのに、どうしてフィットネスジムに就職されたんですか?

ASUKA)これにも色々と理由がありまして(笑) もともと私は高校卒業後、ニートをしてました。 私の家庭環境が少し複雑だったので、お母さんが喜ぶ仕事をしたいなと思っていました。

お母さんはよくパーマをかけに行っていたのですが、毎回『全然イメージと違うのよね~…』と母が言ってて(笑)それなのに、なぜか毎回行くんですよね。私は『あっちゃん』とお母さんに呼ばれていたのですが、子どもの頃から『あっちゃんが大きくなったらママのパーマ屋さんになってよ』とずっと言われていたんです。それなら、私が美容師になればお母さんが喜んでくれるんじゃないかと思って、高校卒業後は美容専門学校に行くつもりでいました。

ところが、進学しようとお母さんに話したら『何言ってるの?』とあっさり言われてしまって…。ハサミとか道具にお金がかかるし、『うちはそんな余裕ないよ、無理よ』って普通に否定されてしまったんです(笑)

ー学費は自分で用意してねってことだったんですね(笑)

ASUKA)本当にびっくりしました!(笑) ずっと美容師になることしか考えていなかったので、夢がなくなってしまって。かといって本気でやりたいか?と問われると、当時はわからなくもなり…。結局、半年間は何もせず、プー太郎でした。

でも、遊びに行くお金もないし、『どうしよう…とりあえずお金を稼がなきゃ』という感じになって。当時は特にやりたいこともなくて、フリーペーパーの求人情報を適当にパラパラめくって、目をつぶって指をさしたところのバイトに応募してみよう、みたいなノリでした。その結果、たまたま面接を受けたのが大手のフィットネスジムだったんです。本当に偶然の流れで、そこからトレーナーの道が始まりました。

ーでも、最初はフロント業務で応募されたんですよね?過去のInstagramの投稿を拝見しました。でも実際は、フロントではなくトレーナーとして採用されたんですか?

ASUKA)最初の面接では、面接官がトレーナーチーフの方でした。採用の連絡をもらったとき、私はフロント業務で応募していたので、『よかった!』と思ったんです。運動は本当に苦手で、当時は体も小さくて細かったし、マラソン大会では毎回ビリ…。だから、『絶対にフロントがいい!』と希望していました。

ところが、実際に働き始めると、最初の2週間ずっとマシンの案内をすることに。私は素直だったので、『ジムだからフロント業務でも一通りマシンの知識は必要なのかな』と信じて研修を受けていました。でも、いつまで経ってもフロントの仕事を教えてもらえなくて…。

1ヶ月くらい経った頃、ついに『いつになったらフロント業務を教えてもらえるんですか?』と聞いたんです。するとトレーナーの方に、『君はトレーナーとして採用されたんだよ』と言われて、『えっ!?』って驚きました。

でも、また一から仕事を探して応募するのも気が引けたし、『もう少し頑張ってみよう』と思って続けてみることにしました。

―希望とは違う業務での採用だったんですね(笑) でも、そのおかげで今につながっていると思うと、なんだか感慨深いですね。もともとスポーツが苦手だったとのことですが、どのようなきっかけでトレーナーの仕事にやりがいを感じるようになったのでしょうか?

ASUKA)当時私は18歳だったので、お客様のほとんどが人生の先輩でした。そんな方々が私のことを『先生』と呼んでくれたり、指導したことに対して『ありがとう』と言ってくださる経験が初めてで、とても嬉しかったのを覚えています。この仕事が一番好きだなと、その時思いました。

運動は苦手でしたが、喜んでもらえることが嬉しくて続けられました。トレーナーという仕事は、1人の方と深く関わるからこそ、日々の習慣や在り方、人間性の部分まで見られる仕事だと思っています。だからこそ、毎日1ミリずつでも積み重ねることを大切にし、相手の立場に立って話をすることを意識してきました。

そうした積み重ねのおかげで、『ASUKAさんだったら』『ASUKAさんだから』と言ってくださる方が増え、本当に感謝しています。

モデルやラウンドガールなど、人前に立つ仕事も経験(本人提供)

他人の悲しみが他人事に思えない理由

ー丁寧で親身な対応が実を結び、全店舗の中で業界3位の成績を収められたと伺いました。そんな成功を収めている状態から、なぜフィットネスジムではなく、パーソナルトレーナーに転身されたのでしょうか?

ASUKA)毎回全てのレッスンがほぼ満員になってくださり、本当にありがたく思ってました。しかし、その反面、時間が限られている中で、皆様の質問に十分に答えられなかったり、深く関わりきれなかったことが気になっていました。もっと1人1人にしっかりと関わりたくて、パーソナルトレーナーという道を選びたいと思うようになりました。

私自身、過去の様々や実体験から、目の前にいる人が悲しんでいたり苦しんでいる時に、自分が何もできないことが非常に苦しくて辛かったという思いがあります。そのため、日々『自分に何ができるか』を考えながら育ってきました。そして、大人になった今、お客様や身近にいる人たちに少しでもその支えになれることを実感し、やっと自分が後悔しない選択を今、できている事に感謝しています。

ー過去のさまざまな体験とおっしゃいましたが、具体的にどのような経験を経て、そのように考えるようになったのでしょうか?

ASUKA)実は23歳の頃にヘルニアを発症し、立つこともできず入院をしていました。しかし、手術が怖くて嫌だったので拒んで脱走しました(笑)オムツ生活は絶望的な経験でしたが、そんな私を救ってくれたのが、18歳の頃にジムのアルバイトで身につけた知識でした。

しかし、妊娠を機に体重は10キロ増加。働いてもライフワークのバランスが上手く取れず体を壊すことの繰り返しでした。その後、出張パーソナルを始めたものの、我が子を抱えながら家族に秘密で続ける日々もありました。そんな孤独や苦しみを抱える人を救いたい。そう思ったことが、起業のきっかけでした。

それでも、うまくいかない日々が続きました。コロナ禍に突入し、仕事や人間関係で人間不信にもなり、ついには『もう辞めよう』と決意しました。最後はお客様としてジムに通い、自分の気持ちに区切りをつけて終わろう。そう考え、廃業届をバッグに忍ばせながら訪れたのが、今お世話になっている、『PERSONAL GYM LUANA』でした。

今日この日を迎えるまでに、数えきれないほどの葛藤がありました。しかし、皆様のおかげで、自分が選んだ道を『後悔のない選択』に変える努力を続けることができています。

楽しく、楽に、2つの楽を追求したい

ートレーナー業の他にも、食事の栄養コンサルをされているとのことですが、料理に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

ASUKA)料理に興味を持ったきっかけは、幼少期に兄のためにお弁当を作った経験です。当時、家でガスを使うことは禁止されていたため、こっそりとお弁当を作って兄に届けました。そして、作ったお弁当を美味しいと言いながら食べてくれる兄の姿がとても嬉しく、自己肯定感を高めてくれる貴重な思い出となりました。その経験を通じて、自分の行動が誰かを喜ばせることができると感じ、料理が好きになりました。食を通じて、喜んでもらったり、元気になってもらったり、心身を健康にしてあげたいという気持ちが育まれたと思います。

ー幼少期からの家庭環境も影響して、料理が好きになったんですね。では、食事の栄養コンサルを本格的に始めたのはどのタイミングでしたか?

ASUKA)今のジムに務める前に、自分の好きなことを一通り試してみようと思い、モデル活動やさまざまな飲食店で働いた経験があります。その当時、糖質制限が流行り始めていたこともあり、ドーナツを販売するカフェで、糖質を抑えたロカボドーナツの商品開発に携わる機会を得ました。

自分のアイデアがその会社で採用され、そこで自信をつけたことで、体づくりや健康づくりと、自分の好きな料理を組み合わせていけたらと思うようになりました。自分の得意分野を活かして、食をサポートすることができると確信し、よりマルチに取り組んでいけると感じています。

時短×栄養×華やかさがあるレシピを講師として教えている(本人提供)

ーASUKAさんのInstagramには、お子様のために作られたお弁当の写真がたくさん投稿されていますよね。栄養へのこだわりはもちろん、見た目もとても美しくて感心しました。

ASUKA)ボディメイク=ささみとブロッコリーというイメージを変えたかったんです。彩り豊かで簡単に作れる料理が、時間や心の豊かさをどんどん増していくことを、自分の料理を通して皆さんに知ってもらいたいです。時間がかからず、低コストで栄養が摂れる料理の工夫を、毎月開催しているジムでのイベントやLINE配信、飲食店とのイベントなどで皆様にお伝えしています。特に、私と同じ子育て世代のお母さんに向けて、その便利さと豊かさを実感していただけたら嬉しいです。

時間や心の余裕を見つけるために無駄を減らしたいと思う一方で、逆にたくさんのことを取り入れて苦しくなってしまった経験が私にはあります。その経験を通して、もっとリアルに、そして本質的な部分に向き合うことの大切さを感じています。私はこれからも、人を支えたり、気づきを与えられるような存在でありたいと思っています。

ーASUKAさんにはお子様が2人いらっしゃいますので、仕事と家事の両立はとても大変だと思います。ワークライフバランスをどのように整えていらっしゃいますか?

ASUKA)正直、最初は全然うまくいきませんでした。トライアンドエラーを繰り返す中で、今のスタイルができたと言っても過言ではないと思います。

私が実践してきたこととしては、まずお仕事は一生懸命やることです。外での活動は、月に30日間あるうちの3分の1から半分くらいを、レッスンや打ち合わせなどに充てていました。このスケジュールを決めたのは、2年ほど前からです。残りの半分の時間は、さらに2つに分けて、1/4をお仕事に必要な学びや準備に使うことに決めました。そうすることで、自分の成長やお仕事の準備に集中できる日を作りました。

残りの1/4は、自分が仕事ばかりになって大切なものをおろそかにしていると気づいたときに、目の前の人を大切にしたり、会いたい人に会いに行ったり、自分のメンテナンスや心を豊かにすることに時間を使おうと決めました。こうして、自分の時間をしっかりと割り振ることで、心の余裕やバランスを取ることができるようになりました。

ーASUKAさんの仕事は、トレーニングや食育コンサルのメニューを考えるなど、準備に時間が必要ですよね。そのように過ごしていく中で、ご自身が家事をするのがおっくうに感じることがあったり、そういった経験があったからこそ、今のような考え方に至ったのでしょうか?

ASUKA)私は日々のあり方が自分の仕事の一部だと思っています。日頃の積み重ねがないと、お客様や関わる方に伝えることが薄っぺらくなってしまうと感じていて。

ただ家事や料理を完全に仕事として捉えると、正直苦しくなる時期もありました。でも、自分自身が綺麗になれたり、家族や子供が喜んでくれる食事をいかに楽に楽しく作れるかをお客様に提案すると、喜んでもらえるんです。人を喜ばせること自体が根底にありますが、その喜んでいる姿を見て、自分も幸せだと感じていることに最近気づきました。だから、日々の食事やトレーニングに前向きに向き合える自分がいるのだと思います。

自分を大切にすることで、人を幸せにし、笑顔を見て自分も幸せになる。心が豊かになれるのは、この積み重ねの結果だと感じています。

お客様からの感謝が導いた変化

ーASUKAさんはビジネスをする上で、しっかりと論理的にいろいろと説明されていますが、そういったアプローチはどなたから影響を受けたのでしょうか?

ASUKA)正直、経営は独学です。幸い周りには尊敬できる方々が多く、そこから多くの気づきや学びを得ています。相手が何を求めているかを想像し、目の前の人と良好な関係を築けるよう意識しています。将来的には、チーム、仲間になりたいという夢も持っています。

トレーナーとしては、時に歩み寄るだけが優しさではないと思っており、必要なことはしっかり伝えるべきだと考えています。その伝え方は、相手の様子を見ながら工夫しています。例えば今日は相手の様子を見て、まずは相手の話を聞いて、デトックスのような感じで全て伝えたいことを伝えてもらってスッキリしてもらった状態で話を進めたりした方が良いなと感じたら聞き役に徹っした後に私の話をするように心がけています。 

メンタルをデトックスすることがトレーニングにつながる(本人提供)

―ASUKAさんにお話を伺っていると、私をしっかり見て、話を聞いて話されている姿勢が伝わってきます。これまでで最も印象に残っているお客様のエピソードがあれば、教えていただけますか?

ASUKA)妊活中のお客様が半年間通ってくださり、見事お子さんを授かることができたと連絡をいただき、『本当にASUKAさんのおかげです、ありがとう』と言っていただいたことが印象に残っています。無事にお子さんを出産され、また現在再開して頑張ってくれているんです。最初の1人目のお客様から今日まで出会った全てのお客様に、心から感謝の気持ちでいっぱいです。

この経験で、自分が与えるだけでなく、多くのことを与えられていると実感し、自己肯定感やトレーナーとしての自信が深まりました。運動が嫌いだった私が、トレーニングを通して体が変わることで精神的にも強くなり、前向きになれたことが増えたと体感出来た嬉しい出来事でした。

ー様々なことにチャレンジされていますが、ASUKAさんは今後のキャリアをどのように考えられていますか?

ASUKA)人前で話すことや、順序立てて分かりやすく短くまとめることは苦手な部分でもありますが、今後は声をかけていただいている方々に恩返しできるよう、精いっぱい取り組んでいきたいと思っています。

大切な方々がいるからこそ頑張れるので、勇気をもらったり、自分が変わった、好きになれたと言ってくれる人が増えるように、苦手なことにも挑戦していきます。食事、運動、心のあり方の3つの柱を基盤に、今後は新しいASUKAスタイルを広めていけるように活動していきたいと考えています。

ーでは最後に、ASUKAさんにとって、プロフェッショナルとは何か教えてください。

ASUKA)自分を好きになる気づきやきっかけを与えられる人間でありたい。相手に何かしら還元できるものを提供することがプロフェッショナルであると考えています。 そのために私は、1日1日を積み重ねていくことが大切だと思って行動しています。

―順序立てて、思いを込めてお話しくださり、ありがとうございました。これからのご活動も心より応援しております!

編集後記:初対面のときから笑顔が絶えない、素敵な女性という印象を持っていましたが、実際にお話を伺うと、物事をしっかり順序立てて丁寧に説明してくれる姿が印象的でした。約60分のインタビューを通じて、ASUKAさんに惹かれる人が多い理由が少しわかった気がします。聞き上手で話し上手、同性からも異性からも愛される要素をたくさん持っている女性だと感じました!

(RDX Japan編集部)インタビュアー  上村隆介

ASUKA

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