GLORY BEYOND DREAMS 風間 賢彦さん インタビュー

インタビュー | 2024.12.11 Wed

自分の事を大好きですと言える人を一人でも増やしたい

彼は薬剤師パーソナルトレーナーとして活躍し、フィットネスコンテスト『Sexy Body Labo Festival』(現:Eregansu Harmonia【EREMONIA(エレモニア)】)の代表を務める風間 賢彦さん。

数々のフィットネスコンテストで優勝を重ねてきた彼が、その過程で見てきた業界の裏側。

『綺麗な体を見せたいがために心と体を壊す人を多く見てきた』

フィットネスコンテストを開催する理由、それは一人でも多くの人に「自分が好きだ」と感じてもらいたいという想いからだと語る。

今回は『Eregansu Harmonia~EREMONIA~』の理念と共に風間 賢彦さんのバックグラウンドや思想について伺いました。

風間 賢彦 (かざまよしひこ)

Freeden合同会社 代表
一般社団法人日本ウェルネスプロフェッショナル協会 代表

生年月日:1993年9月11日
出身地:東京都
経歴:薬剤師パーソナルトレーナーとして活動し、2020年にはフィットネスコンテストで11タイトルを獲得。現在は、新たな形のフィットネスコンテスト「Sexy Body Labo Festival」(現:Eregansu Harmonia【EREMONIA(エレモニア)】)の代表を務めるとともに、日本のヘルスリテラシー向上を目指す健康推進団体「一般社団法人日本ウェルネスプロフェッショナル協会」の代表としても活躍中。

『Eregansu Harmonia~EREMONIA~』が提供する、
新しい自分への一歩

ー10月に開催された『Sexy Body Labo Festival』は多くの方が参加し、大変な盛り上がりだったようですね。RDXもスポンサー賞としてフィットネス用品をご提供できたことを大変光栄に思っています。まずは、今回の大会の成功をどのように感じていらっしゃるか、率直なご感想をお聞かせください。

風間:昨年、開催した第1回大会は初回ということもあり多くの方にご参加いただき、大変話題になりました。今年の第2回大会では、その期待に応える一方で、不安も少なからずありました。しかし、おかげさまで昨年同様に盛況のうちに終えることができました。今回は新たな試みとして、下北沢のライブハウスを会場に使用し、様々な新しい要素を取り入れた大会となりました。特に、フィットネスの大会にミスコンの要素であるエレガントさやインナービューティー審査を初めて取り入れた点が特徴です。また、お酒や食事を提供することで、ショーとしてカジュアルに楽しんでいただける空間を作ることにも挑戦しました。まだまだ運営面ではご迷惑をおかけしたところもありましたが、皆様の笑顔を見られたことで、開催して本当によかったと感じています。

ー風間さん自身、プレイヤーとして数多くの大会に参加されてきたと思いますが、大会の主催者として運営に携わるようになったのはどのような経緯からでしょうか?きっかけや想いを教えていただけますか。

風間:まず大会を始めたきっかけは、私自身がコンテスト出身であることが大きかったです。2020年には複数のフィットネス大会で11タイトルを獲得する経験をさせていただきました。しかし、その過程で、過度な減量によって体を壊してしまう方や、日常生活とかけ離れたライフスタイルを強いられるケースの方を多く目にしました。

こうした状況を変えたいという想いから、より多くの人が健康的に活躍できる場を提供したいと考え、このフィットネス大会を立ち上げました。「新しい自分に変わりたい」「一歩踏み出したい」という方々を後押しする場でありたいと思っています。また、初心者の方にも参加しやすい環境を整え、幅広い方々に挑戦していただける大会を目指しています。

ー他のフィットネスコンテストと比べると、様々な部門がある点が印象的です。どのようなコンセプトで部門を設けているのか、また他の大会と比べてどのような点で差別化を図っているのか、詳しく教えていただけますか。

風間:仰る通りでコンテストの部門が幅広いのも一つの特徴です。この大会の特徴としては、ミスコンの要素を取り入れ、総合的なビューティーコンテストとしての立ち位置を目指している点です。また、ダイバーシティを推進し、セクシャルマイノリティの方や障がいのある方、ハンディキャップをお持ちの方にも積極的にご参加いただいています。

第1回大会からメイン審査員にボディービルダー界のレジェンド山本 昌弘さん、ドラァグクイーンのアロムさんがMCを務め、今回の大会よりゲスト審査員に楽しんごさんがこられたり、余命宣告を乗り越えてファッションモデルとして活躍している女の子が出場したり、FtM※1.の方のパフォーマンスなども実施しました。これらの取り組みにより、多くの方々に興味を持っていただけていると感じています。

※1.身体的特徴は女性として生まれてきたものの、男性として生きることを望む人や、男性の体へと移行を目指す人

体型を理由にいじめられた過去から、今の自分へ

ー風間さん自身のバックグラウンドについても伺いたいのですが、最初にフィットネスに興味を持った理由は何だったのでしょうか。

風間:あまり信じてもらえないのですが、私自身、昔は太っていて、それが理由でいじめられた経験があります。小学生時代は身長140cmに対して体重が65kgもある「エリートデブ」(笑) でした。体を動かすことは好きでしたが、それ以上に食べることが大好きな少年でした。部活で野球をしていましたが、太ったり痩せたりを繰り返してましたね。

大学に入ってから、幼なじみの友達がゴールドジムのトレーナーをしていることを知り、様々なトレーニングを教えてもらったのがフィットネスとの出会いでした。その後、地元の市民体育館のジムで知り合った経営者の方から、その方主催のフィットネスイベントに誘われ、初めて本格的な減量に挑戦しました。確か1か月で9kgほど落としたのですが、今振り返るとかなり過酷な減量だったと思います。それでも、その経験を通じてフィットネスの面白さに夢中になり、自分の可能性を広げられると感じたのが、現在の活動の原点です。

―元々は薬剤師として働きながら、大会に出場し、パーソナルトレーナーとしても活動されていたとのことですが、薬剤師を選んだ理由についてお聞かせいただけますか。

風間:家族が糖尿病や白血病などの病歴があり、その影響もあって、身近な人々を助けたいという思いから医療関係の道を選びました。また、自分がかつていじめられていた経験があり、周りに迷惑をかけたと感じていたので、より多くの人々の健康を支えられる職業を目指しました。その後、調剤薬局で管理薬剤師として働きながら、フィットネスコンテストに夢中になり、それがきっかけで薬局の代表にお願いして、フィットネストレーナーの勉強も並行して始めました。

大学卒業後は薬剤師として勤めた

ー薬剤師としての経験がご自身の活動の中でどのように活かされていますか?

風間:薬物動態学や生化学、生理学を熟知していたことが、サプリメントや食事指導、トレーニング効率アップ等に応用がきいて、私のトレーナー活動やフィットネス活動において大きなアドバンテージとなりました。数多くのコンテストで優勝できたのも、他とは違う知識から無理なく、バランスの良い体が作れた所が一因だと思っています。

サポートできる場をさらに広げていきたい

―薬剤師を経て現在は独立され、会社経営やイベント運営にも携わっていらっしゃいますが、これらの分野をどのように学ばれたのでしょうか?

風間:独立してまだ2年目なので、周りの経営者の方々に多くのことを教えていただき、様々な方とのご縁に助けられています。多くの出会いからインスピレーションを受け、日々良いものを吸収している状態です。私一人では大きなことはできませんが、「遠くを目指すなら皆と行け」という言葉のように、皆様とWin-Winな形で協業するスタイルが好きです。

フィットネスコミュニティとして『Sexy Body Labo Festival』を立ち上げ、月に1~2回の体を動かすイベントや交流会、地域や季節ごとの小さなイベントから始めました。しかし、コンテストとなると費用も関わる方々も多く、規模感が全く異なるため、最初は分からないことだらけでした。それでも、皆様の知恵をお借りして何とか開催できたのではないかと思っています。

ー協賛企業様も含めて、どのようなメンバーで運営しているのでしょうか。

風間:現在16名程のスタッフで運営しており、今年は有名企業様をはじめ17社の協賛・スポンサー企業様に携わっていただいております。昨年の会社設立時にはクラウドファンディングを行い、資金面ではもちろん、私達の理念に共感し賛同してくれるよう認知拡大ができたのが良かったです。皆様のご尽力のおかげで拡散していただいていると感じております。

―風間さんは一般社団法人日本ウェルネスプロフェッショナル協会の代表も務めていらっしゃいますが、どのような活動をされているのでしょうか?

風間:私は薬剤師の免許を持っていることから、地域の子供向けイベントに「薬剤師体験コーナー」を設けたり、講演活動を行ったりして、日本のヘルスリテラシーの向上を目指して活動しています。そのために、この社団法人を設立しました。また、医療従事者やパーソナルトレーナーの視野を広げ、日本のプロフェッショナルたちを育成することを目指しています。薬剤師としての資格を持ちながらフィットネス業界にも関わることができ、さまざまな企業と顧問契約を結び、監修活動も行っています。

コンテストを開催すると決めてから独立し、2023年には合同会社を設立しました。その後、10月には社団法人も立ち上げ、より多くの人々をサポートできる場を提供しています。これらの活動が1~2年で実現できたのは、周りの皆さんの力があってこそだと感じています。今後はコンテスト事業を日本ウェルネスプロフェッショナル協会と強く連携していく考えてです。

―現在は運営側としてフィットネスに携わっていますが、今後プレイヤーとしてはどのように活動されますか。

風間:まずは私たちのコンテスト自体を盛り上げることに注力し、その後、落ち着いてきたら世界大会へのチャレンジも視野に入れています。実は、今度初めてミスターコンテストの世界大会に出場することが決まっており、その挑戦を新たなきっかけとして、私たちのコンセプトである「内面と外見の美の両方を鍛えること」を、私自身がロールモデルとして体現したいと思っています。

また、審査員を経験したことで気づいたのは、フィットネスに取り組む際には自分のマインドも重要だということです。常に前向きに、楽しく生きることに焦点を当て、コンテストの場を楽しむことを心掛けています。

運営側としては、私が出場したすべてのコンテストが素晴らしいものだったので、参加を検討している方々には背中を押したいと思います。私たちは私たちの団体の良さを最大限に発信し、フィットネスの土壌をさらに盛り上げることで、皆さんの幸せに繋げていきたいと考えています。

フィットネスコンテストで輝かしい受賞歴を多く持つ

ーフィットネスをされている方々は明るくて健康的なイメージがありますが、風間さんから見て実際にはどのような背景や想いを持った方が多いと思いますか?

風間:確かに世間的に言われる「陽キャ」というイメージがあるかもしれませんが、見えている部分とプライベートでは異なる方も多いです。コンテストに出ると周りと自分を比べ過ぎてしまって精神的に病んでしまい、うつ病になったり拒食症や過食症になってしまう方もいます。SNSでも今はすぐに他の方の体が見えてしまうので、他人と比べてまだまだだなと思ってしまうんですよね。他人と比べることに固執してしまって自分のことを好きじゃなくなってしまうのを見るのは悲しかったですね。

ーそうした方々もいらっしゃるんですね。風間さんのご経験から、そういった方々に向けてどのようなメッセージをご自身の活動から届けたいとお考えですか?

風間:元々太っていて自分に自信がなかった私ですが、フィットネスが好きになり体が出来上がっていく姿を見て、少しずつ自分を好きになれるようになりました。そしてコンテストに出るたびに多くの方から温かい言葉をいただき、支えられていると実感しました。今、私が達成感を感じるのは、うちのコンテストを通して参加者の皆さんが楽しんでくれて、感謝の言葉を伝えてくださる瞬間です。もちろん出場者はグランプリや受賞する事を目指しているとは思いますが、一生懸命に努力して作った体や内面からでる魅力はみんな素晴らしく、承認称賛されるべきだと思います。だからこそ、フィットネスを通じて自分を好きになるきっかけを一人でも多くの方に届けられる場を提供していきたいと考えています。

ーさらに多くの方に大会を知ってもらうためにどのような方法で今後広めていきたいと考えていますか。

風間:現在、SNSを活用したマーケティングを行っていますが、今後は新しいプロジェクトメンバーを募る予定です。私たちの理念に共感してくれる方々と業務提携を進め、アンバサダーのような形で正しいフィットネスを普及させていきたいと考えています。現状の課題である、フィットネス業界だけでなく一般の方々への認知拡大のために、ジムやサロン等の提携を増やし、より多くの方に知ってもらうことを目指しています。フィットネスの土壌を盛り上げ、健康寿命を延ばす仕組みを確立していきたいです。

自分を愛することが他者に優しく接するための第一歩

ー今後、最終的に目指している目標やビジョンがあれば教えていただけますか。

風間:私たちに関わってくださる皆さんには、まず自分のことを好きになってもらいたいと考えています。『自分のことが好きですか?』と問いかけ、その答えが『大好きです』と返ってくることがなにより嬉しいですね。そういう方をナルシストやキザなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、私はそうではなく、まず自分を愛することが他者に優しく接するための第一歩だと考えています。また、旅行代理店や地域の観光協会とも連携し、地方創生と絡めたイベントを全国で開催したいと思っています。地域の企業様と協力し、人材の問題にもアプローチしながら、地方創生を目標に地域を盛り上げる施策を各自治体と進めていきたいですね。

スタッフ、スポンサー様と共に一丸となりイベント成功を目指す

ー今後の活動を通じて、フィットネス業界全体をどのようにご自身が貢献していきたいですか。

風間:フィットネスの楽しさや素晴らしさの土壌自体を盛り上げ、しっかり伸ばしていき、フィットネス人口をもっと増やしていきたいです。そしてアメリカのようにフィットネスを日常に取り入れ、自己投資としてお金をかけて、心身ともに健康になる文化を根づかせていきたいです。

ー最後に風間さんにとって、プロフェッショナルとはどのようにお考えになられていますか。

風間:何事にも謙虚であることが大切だと考えています。感謝と謙虚、この二つを常に念頭に置いて活動しています。僕自身もプレイヤーとして、また代表としての立場を持っているので、これらの価値観を忘れないように心がけています。今年の初めには、改めてこの二つの重要性を再確認しました。

ー今日は貴重なお話ありがとうございました。大会の今後の発展を期待しております!

編集後記:風間さんとお話ししていると、周囲への感謝の気持ちや謙虚さがひしひしと伝わってきました。フィットネスへの情熱についても、参加される方々の笑顔や感謝されることが一番の原動力だと語るように、フィットネスの楽しさを通じて心を痛めている人々を少しでも救いたいという強い思いを感じました。将来のビジョンも明確にお持ちであり、今後、日本のフィットネス界に新しい風を吹き込んでくださることを期待しております!(RDX Japan編集部)

インタビュアー  上村隆介

風間 賢彦

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