インタビュー | 2024.10.28 Mon
『妊活の経験を通じて、心と体を整えることの大切さを伝えたい』
彼女は、元祖メガネアイドルとして活躍していた元グラビアアイドルの時東ぁみさん。
現在、4年半にわたる妊活経験を経て、妊活に特化したフィットネスを監修し、その重要性を発信し続けています。
今回は、時東さんがフィットネスと出会ったきっかけや、妊活フィットネスがどのようなものかについてお話を伺いました。
時東ぁみ (ときとう ぁみ)
生年月日:1987年9月25日
出身地:東京都
所属:サンミュージックプロダクション
経歴:17歳からアイドルとしてのキャリアをスタートさせ元祖メガネアイドルとして活躍。近年は、フィットネス分野にも進出し特に妊活サポートを目的としたフィットネス活動に力を注いでいる。
現在は整体よもぎ蒸しサロン 「BODY NEXT 恵比寿」にて妊活フィットネスの監修を行っている。
意識して食べていたグラビア時代
―本日は、時東さんにフィットネスを中心にお話を伺わせていただきます。フィットネスを始められたきっかけとして、山本義徳さんのYouTube出演があったと伺っていますが、実際に山本さんとお話しされて、フィットネスに対する考え方にどのような変化がありましたか?
時東)山本先生は「フィットネスをしたことのない人にこそ伝えたい」という考えをお持ちで、私がその役にふさわしいと感じていただいたことがきっかけでYouTubeに出演することになりました。この機会を通じて、全世界の人から「フィットネスをしている人だ」と認知されるようになると思い「フィットネスを続けなきゃ!」と決意したのがきっかけでした。
―山本さんにお会いした時の印象はいかがでしたか?
時東)山本先生は「伝説のボディビルダー」と言われていて見た目は少しいかついので、怖いかなと最初は思っていました(笑) でも実際にはとても物腰が柔らかく、優しく指導してくださる方でした。そのおかげで「フィットネスはただつらいものではないのかもしれない」と思えてフィットネスに対しての見方が変わりました。
―時東さんは17歳からグラビアアイドルとして活動されていましたが、当時はどのように体型維持をされていたのでしょうか?
時東)実は、3歳から12歳まではモダンバレエ、12歳から18歳まではバスケに取り組んでいたほか、陸上や新体操なども経験していたため、ずっと体を動かしていて、太りにくい体質だったんです。逆に筋肉質な体型だったので、撮影前には柔らかい体のラインが出るように、なるべく丸みを出すために意識して食べるようにしていました。
―当時はトレーナーなど付けてトレーニングはされていなかったんですか?
時東)全く付けてなかったです(笑)
―それは驚きました(笑) 逆に肉付きを気にして撮影前は食事されていたんですね。
時東)撮影が決まったらジムの日程を決めて、食事制限する!…ことが割と業界的には当たり前なのかも知れないんですが私の場合、それをすると「女性らしい体のライン」が失われてしまい、男性が好む柔らかさがなくなってしまうんです。なので、逆にそうならないように気をつけていました。
妊活経験から伝えるフィットネスの大切さ
―グラビア時代にはしていなかったフィットネスを始めるにあたって、まずはどのようにご自身の体と向き合いましたか?
時東)ちょうどフィットネスを始めたタイミングが不妊治療の時期と重なっていたので、まずは自分の体を整えようと決めました。特に私は生理痛がひどかったため、トレーニングで体調が改善できるかもしれないと思い気合を入れて取り組みました。
―現在は妊活に特化したフィットネスを監修されていますが、この取り組みを始めようと思われたきっかけは、ご自身の妊活経験が影響しているのでしょうか?
時東)そうなんです。妊活の経験を通じて、心の安定や体を整えることの大切さを、いつか多くの方に伝えたいとずっと考えていました。伝える方法に悩んでいた時、知人がジムと整体、ヨモギ蒸しを一つにしたジムを始めると聞き、それが自分の考えとぴったり一致したため、現在ここでお世話になっています。
妊活フィットネスの監修を行っている
―妊活に特化したフィットネスには、どのような特徴や一般的なフィットネスと異なるポイントがあるのでしょうか?
時東)基本的には下半身を中心に鍛えることがメインになります。女性は生理中や出産、産後も腰やお尻が常に重要で、そこにある筋肉を鍛えることが欠かせません。このジムではトレーニング、整体、ヨモギ蒸しと、総合的に体をケアできる点が特徴です。ただ、お客様からは「妊活にトレーニングが必要だとは思っていなかった」という声も多くあります。ヨモギ蒸しは妊活中の方に馴染み深いですが、より深く体を温めるために骨盤矯正も行い、体を整えた状態でトレーニングをすることで、きれいな筋肉をつけることができるんです。そのため、一連のケアを通じたアプローチをお勧めしています。
―妊活中、多くの女性がプレッシャーを感じているかと思いますが、体の健康とともに心の健康も大切ですよね。フィットネスを通して、メンタル面でのサポートやアプローチについては、どのようにお考えでしょうか?
時東)メンタル面では、本当に辛い思いをされている方が多くいらっしゃいます。多方面からのプレッシャーにさらされる中で、不安な気持ちをすべて私に話していただけることも、この妊活コースの特徴です。私自身も4年半にわたる妊活の経験があるので、不妊治療についての悩みや不安など、解決の糸口が見つかるようであれば、いくらでもお話を伺いたいと思っています。
―妊活に取り組む中、プレッシャーを感じる女性に対して男性はどのようなサポートやケアを提供することが時東さんの経験上、一番の助けになると思いますか?
時東)今では男性不妊という言葉もあるように、不妊の原因は男女にそれぞれ半分ずつあることをまず知っていただくことが重要です。上手くいかない中でも女性を責めないことや、一緒に行動することが大切だと思います。今回の妊活コースでも、ぜひ一緒にトレーニングに来てほしいです。男性不妊にとっても効果的なトレーニングや施術を用意しているので、一緒に受けることで産後も協力して子育てができる関係を築いてもらいたいと思っています。また、女性には考え込みすぎず、彼との子供が欲しいという原点の思いを忘れずにいてほしいです。もし授かれなかったとしても、夫婦2人でもこんなに楽しい時間が過ごせることを実感してもらうことが大切だと思っています。
―妊活は一人で出来る物ではないですもんね。
時東)女性も子供が欲しい!欲しい!となってしまいがちなのですが、元をたどれば、「彼との子供が欲しい」という原点があると思います。だからこの人と居ることが楽しいんだ!というところで一緒に頑張ってほしいなと思います。
―体についてもお聞きしたいのですが、妊活中は特に体を冷やすのは良くないと聞きます。食事面では具体的にどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?
時東)妊活の観点から見ると、体外受精や顕微授精の周期では温かい飲み物しか飲まないよう心がけ、体の中から温めることを大切にしています。カイロで外側を温める方もいますが、表面的な温めだけではなく、体の内側からしっかりと温めることが非常に重要です。飲食店でも、注文するものはすべて温かいものにするよう意識していました。また、可能であれば周期の間だけでも腹巻をつけることをおすすめしています。
―妊活をする上で、食事以外に気を付けることはありますか。
時東)妊活に限らず、痩せすぎは体に良くないですし、妊娠や出産で太りすぎてしまうことも赤ちゃんに負担をかけるため、健康的な体型を維持することが重要です。また、姿勢も非常に大切です。私は妊活をしていた4年半の間、足を組んだことは一切ありませんでした。日常生活でも、電車を待っている時や食器を洗っている時は必ず両足で立つように心がけ、座る時も左右差が出ないように注意しています。
さらに、妊活において最も大切なのは、旦那さんとの関係です。子供ができた後にどのような未来を描くかをしっかり話し合うことが重要で、もし可能であれば、万が一授かれなかった場合の話もしておくと良いと思います。
―妊活に限らず、女性の健康やライフスタイルにおいて、フィットネスはどのような役割を果たすと考えていますか?
時東)私は、どの角度から見ても美しい状態でいたいと常々思っています。美容医療が身近になっている今ですが、その前に、内側から美しくなることや、いつ見ても綺麗な体を保つことが非常に重要だと考えています。トレーニングを行い、しっかりと睡眠を取り、栄養豊富な食事を心がけることが、理想の自分に近づくための近道です。
自分の根本的な部分を整えた上で、美容医療などのアップデートを行うことで、さらなる美しさを引き出せると信じています。フィットネスがそのサポートをできればと考えています。また、年々心のバランスを崩す方が増えている中で、トレーニングがうつ病改善に寄与するという研究結果もあるため、体を動かすことをぜひお勧めします。
子育てと両立したフィットネス大会への挑戦
―監修だけではなく、2023年のAPF JAPAN CLASSICにおいてウィメンズフィットウェアモデル部門で3位に入賞されたとのことですが、実際に大会に参加されたご感想をお聞かせいただけますか?
時東)最初は皆がライバルで、非常に怖い環境なのかなと思っていました。しかし、APFのトップの方とお話しする機会があり、皆で楽しく体を綺麗に見せる大会にしたいというモットーを伺いました。実は初出場の時には5位を獲得したのですが、多くの方から直接お褒めの言葉をいただき、非常に温かい環境だなと思いました。緊張感がある中でも和気あいあいとしていて、また出たくなる大会だと感じました。
―大会に向けてご自身のトレーニングのスケジュールやマネジメントをどのようにしていたのでしょうか。
時東)子育てと並行するのでとにかく大変でしたが、一番大変だったのはトレーニングのスケジュールを組むことでした。本当は週に2回したいところを、週1回は成果が出るような家トレをトレーナーに教えてもらったりしました。食事を見ていただく栄養士さんは、自分とライフスタイルが似ていて出産経験と大会出場経験がある方にお願いしました。また、ポージングの先生も自分の身長に合った方を選ばせていただきました。
―今までのフィットネスの大会の出場や妊活フィットネスの監修などの学びを生かして、今後どのようにご自身の活動を発信していきたいですか?
時東)今は個人SNSや、雑誌に掲載していただく形で発信しているのですが、もっと多くの方に知ってもらいたいと思っているので、講演会や、多くのお母様やご夫婦をお招きしてお話する機会を作りたいなと思います。直接お話を聞いていただいて、その場で軽くトレーニングして体を動かしてみたり、直接会える機会を作っていきたいです。
妊活は夫婦で協力し合う時間に
―現代では高齢出産が増えている中で、不妊治療という言葉もよく耳にするようになりました。このような状況において、フィットネスの役割をどのように考えていますか?
時東)今の時代、男性にも見られるようになった不妊の問題ですが、多くの女性が経験する更年期障害の辛さを和らげることがとても重要です。特に高齢出産の後、生理が少なくなっていく中で、その辛さを軽減するためにはフィットネスが役立ちます。私も37歳になり、これからもフィットネスを続けて成果を出したいと思っています。
また、産後は子供の成長スピードに伴い、悩みや考え事が増える時期です。心を前向きに保つためにも、トレーニングは効果的です。心が苦しい時に体を動かすと、「なぜこんなことで悩んでいたのか」という感じになり気持ちがスッキリすることが増えました。そして、特に産後は体が緩んでいるため、トレーニングによって引き締める絶好のタイミングとも言えます。
―今後はフィットネス活動を通じてどのようなメッセージを発信していきたいですか。
時東)今の時代、痩せている方が良いとか、産後は太るものというイメージが強いですが、実際にはそれは誤解だと思っています。産後は体を整えて、美しくなる大きなチャンスなので、その機会を逃さないでほしいです。心と体を整えることで、2人目以降に前向きに取り組むことができるかもしれません。
また、妊活中の方には、夫婦で協力し合う時間を作ることをお勧めしています。これが子育てにも良い影響を与えますし、もし子供が授からなかったとしても、二人で楽しい時間を過ごすことができると思います。
―最後にお聞きしたいのですが、時東さんはこれまでさまざまなお仕事をされてきました。そういった経験の中でプロとは何だと思われますか。
時東)自信を持っていることですかね。私はどの仕事も自信をもって取り組んでいます。プロはいろんなものを経ているはずなので、失敗も経験として、自信があるのです。自信を持って発信しているとプロフェッショナルを信じてもらうことで、皆さんもプロ意識が上がるのではないかなとかと思います。
―貴重なお話ありがとうございました。今後も応援しております!
編集後記:妊活というテーマにはデリケートな部分があり、男性である私がこの話題について聞くことに少し躊躇していました。しかし、時東さんの「男性にも不妊の原因はあるから一緒に考えていくテーマだよ」という言葉を聞き、徐々にいろいろと深くお話を伺うことができました。フィットネスが体だけでなく、メンタルにも良い影響を与えるということもそうですが、フィットネスの可能性は本当に多岐にわたっていると感じました。
時東さんの発信を通じて、少しでも妊活についての理解が広がり、それが皆さんの幸福度を高める一助となれば、非常に嬉しいことです。今回のインタビューは、そんな思いを強く感じさせてくれるものでした。(RDX Japan編集部)
インタビュアー 上村隆介