BRIDGE OF DREAMS 目代結菜選手

BRIDGE OF DREAMS 目代結菜選手

インタビュー | 2023.12.15  Fri.

小学生の頃の悔しさがあるから、今があると思ってます

彼女は第1回アジアフルコンタクト空手大会の女子軽重量級で優勝するなど、その活躍に注目が集まっている目代結菜(もくだいゆうな)選手。

第13回全世界空手道選手権大会では、世界無差別級のデビュー戦ながら海外勢を退け、3位入賞を果たしました。

高速の突きを武器に、数々の大会で記録を残している目代選手。
学業との両立や、今後の目標についてインタビューしました。

目代結菜(もくだいゆうな)

所属:新極真会東京城南川崎支部

生年月日:2002年11月7日

身長:168 cm

出身地:神奈川県海老名市

経歴:第13回全世界空手道選手権大会 女子無差別級3位

応援の声が力になった 全世界空手道選手権大会について

―自己紹介をお願いします。

目代)目代結菜です。21歳です。6歳から空手を始めて、今年で16年目になります。

―昨年の10月に出場した、第13回全世界空手道選手権大会では3位という成績でした。数カ月経った今の心境を教えてください。

目代)大会に向けて、すごい追い込んでいたし、気持ちも張り詰めていたので、一旦終わってホッとしてるっていう気持ちがありますね。

―この大会で勉強になったことはどんなことですか。

目代)勝つ試合は自分が冷静でいられるんですけど、負けた試合だと冷静じゃないってことに気づけた大会でした。試合中だと分からないんですが、終わってから落ち着いてよく考えたら、試合の時の自分が冷静じゃなかったと気付きました。それが負けた原因だなって。

2023年10月に行われた世界大会では3位という成績を残した(写真 左)

―映像を見ると多くの空手ファンが来場していました。大会中の会場の雰囲気はどうでしたか。

目代)やっぱり世界大会っていうことがあるので、超満員でした。本当にたくさんお客さんが入っていて、応援の声もしっかり聞こえました。

―たくさんのお客さんがいる会場で試合を行うのはいかがでしょうか。

目代)めちゃくちゃ楽しいです。特にコロナのときは無観客でやってたので。空手の打撃の音しか聞こえないほど静かで、怖いくらい。だから余計緊張してしまいました。たくさんの人が入ってる分、応援の声が聞こえるっていうのが、自分が頑張れる糧になります。

―大会中の応援は目代選手の耳に届いてましたか。

目代)「ゆうなちゃーん!」とか、私の名前が聞こえたりしました(笑)

―世界大会では無差別級に出場されていました。対戦相手が自分より大きいときに気をつけたり、対策したりしていることはありますか。

目代)なるべく技を受けないことです。体格差があると、わずかな打撃でもダメージになるので。 特にトーナメント戦は、いかにダメージが少ないまま勝ち上がるかっていうのが鍵になります。なので、序盤はなるべく技を受けずに、ステップを使って戦うっていうのを意識したりします。

変則上段廻し蹴りという難易度の高い技も習得している

―トーナメントを勝ち進む事を考えた時に、なるべく本戦で決着を付けたいと考えることで、試合中にプレッシャーを感じることはありますか。

目代)なるべく本戦で決めたいので、プレッシャーはありますね。でも全然押せないなってときは、もう焦らずに延長で行こうって切り替えます。

―子供時代のこともお聞きしたいのですが、初めて空手道場へ行ったときのことは覚えていますか。

目代)覚えているのは、殴ることが怖かったことです。殴られる恐怖よりも、人を殴る恐怖がありました。でも戦うことがかっこいいって思って、空手にハマったんですよね。

―空手の中でもフルコンタクト空手を選んだ理由を教えてください。

目代)近くにたまたまあったのが、新極真の道場っていうのが理由のひとつです。あとは確か父親がやるならフルコンタクト空手を、というのもあったと思います。両親は元々柔道を習わせたいと思っていたみたいで、武道をやらせることに抵抗はなかったようです。

―中学生の頃は「部活動」に憧れがあったそうですが、どんなところに憧れていましたか。

目代)部活って、青春っぽいじゃないですか(笑) 学校の友達と一緒にやる、っていうところに憧れていましたね。学校の友達が空手をやってくれたら1番ですが、さすがにやってくれる子はいなくて。

―部活への想いはあったけども、空手への情熱は変わらなかったのでしょうか。

目代)本当は、小学6年生の時に空手をやめようと思っていたんです。最後、全国大会で優勝してやめようと思っていたんですけど、その結果が2位で。悔しくて、結局続けることになりました。 だから、中学1年生の時は葛藤がありましたね。

―もし全国大会で優勝していたらやめていたんですね。

目代)そうですね。だから、あの時は2位でよかったかもしれないですね。

小学生時代に経験した悔しさが今の目代選手に繋がっている

―空手をやっていて1番嬉しかったエピソードを教えてください。

目代)世界大会に出られたことです。優勝を目指していたので、3位という結果は悔しさもありますけど、夢の舞台に立てたってことが嬉しかったですね。

―反対に、1番辛かったエピソードを教えてください。

目代)どうしても勝てない時期は辛いですね。痛い・キツイがひたすら続く練習に耐えても勝てなくて、しんどいと感じる時期はありました。

―辛い時にメンタルを整える方法を教えてください。

目代)昔から中途半端なことが嫌いなんです。なので、自分が決めた目標を達成することだけを考えています。

―高校2年生の時に初めて日本代表に選ばれました。そのときの心境を教えてください。

目代)「私でいいんですか?」とまず思いました。

中高時代から多くの取材を受けてきた

―日本代表に選ばれたということは、外国人選手と戦うことになります。日本人選手と外国人選手と戦う時の違いを教えてください。

目代)日本人選手は結構至近距離で戦うのが好きなんですけど、外国人選手はリーチがある分離れて戦おうとしたり、日本人選手がそこでは出さないだろうっていう技を急に出してきたりすることがあるので、予期せぬ技が怖いと思う時があります。

―食生活で心がけていることはありますか。

目代)夜は炭水化物を食べないとか、タンパク質の量とか、あとは毎食できるだけ野菜とフルーツを摂るとか、結構意識しています。パーソナルトレーナーにメニューを作ってもらっています。

―海外遠征の時に気を付けていることを教えてください。

目代)なるべく試合前は日本からお米などの食材を持っていって、それしか食べないことです。試合前の体調を整えるために、水や生の野菜といった現地のものは食べないようにしています。

―トレーニングについてお聞きします。どんな種類の筋トレを行っていますか。

目代)種類は、スクワットとか、 デッドリフトとか、クリーンアンドジャークとか。ベーシックなトレーニングを、ちゃんとやるっていう感じです。

―筋トレが練習の何割ぐらい占めているか教えてください。

目代)稽古が3時間あって、プラスで2時間半です。ただ普段は大学も行ってるので、稽古前に筋トレ行ける日っていうのがなかなかないんです。だから、筋トレの日は筋トレの日って決めちゃう時もあります。

体の事については常に考えていると語る

学業と練習を両立 空手で「諦めない心」が身に付いた

―ハードな練習を続けながらの、大学生活はどうですか。

目代)課題が多い学科なので、きつい部分もありますね。試合前は特に大変です。今はオフの期間なので、稽古も長くなくて夜までやらないので、そこまで大変ではないですね。

―文武両道でやっている人は周りにも多いですか。

目代)結構いますね。私の先輩も慶応大学に通いながら、世界チャンピオンになってたりするので。

―得意技の「突き」はいつから得意技だと思い始めましたか。

目代)小学生のときです。当時からずっと突きが好きでした。

―例えば、後輩が突きを取得したいと言ってきたら、どういう風に教えますか。

目代)腰から打つっていうのを結構意識するので、まずは腰の使い方を教えます。

子供の頃からひたすら突きの練習を行っている

―下の世代を指導していきたいと思うことはありますか。

目代)少し前まではなかったんですけど、最近になって指導してみたいかもって思いが少し出てきました。

―人とは違った練習法があれば教えてください。

目代)ゴムチューブで引っ張ってもらいながらやるっていうのを結構やってるんですけど、最近ちょっと流行っているかもしれないです。

―普段の練習メニューはどのように決めていますか。

目代)師範と相談しながらメニューを決めています。まずはお互いの意見を一致させることが大事だと思っています。納得いかないままやるのが一番ダメだと思うので。

新しい練習方法を取り入れるときは、とりあえず一回やってみます。それでちょっとできそうにないとか、自分的に納得いかないと思ったら、結構はっきり言います。

―今までで1番大きい怪我はどんな怪我でしたか。怪我に対してどう向き合いましたか。

目代)胸骨骨折です。しかも全国大会前でした。でも、それで逆にポジティブになれたというか、不思議と「行けるかも!」という気持ちになりました。私は結構緊張しいなので、怪我に集中する方が緊張が取れるのかもしれません。

―空手と出会って、私生活に良い影響はありましたか。

目代)「続ける気持ちの強さ」が身に付きました。例えば勉強がきついなって思うことはあっても、空手のハードな練習に耐えてきたんだから、このぐらい大丈夫だよなって思えます。

空手をやることで気持ちの強さが身についたと語る目代選手

―礼儀はどうですか。格闘技の中でも日本の空手や柔道などの武道は、特に厳しいと言われますよね。

目代)初対面の人から「体育会系?」とよく聞かれます(笑) 私は全くそのつもりはないんですけど、細かい動作に自然と出ているみたいです。道場では「人の前を通らないこと」など、様々な作法を教わってきました。

―改めて空手の良さはどういうところだと思いますか。

目代)練習を乗り越えていくうちに、気持ちが強くなることです。先が見えないことも、なんとかなるでしょって思えるというか。空手で身に付いた気持ちの強さが、自分の自信にも繋がると思います。

―空手の選手として、これからの一番の目標を教えてください。

目代)世界大会で優勝することです。

―世界大会は4年に1回なので、次の大会は大学卒業の時期ですね。

目代)一旦来年は休学を考えています。いつまで休学をするかは決めていません。

―世界一になったら、どこに行っても活躍できそうですね。これからの活躍も楽しみにしています。ありがとうございました。

目代 結菜 選手

RDX Japan編集部
インタビュアー  上村隆介
カメラマン 森田好美

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