GLORY BEYOND DREAMS 山田彪太朗選手・山田虎矢太選手 インタビュー

インタビュー | 2024.4.25 Thu

双子でベルトを巻けたことは人生のターニングポイント

彼らは双子の格闘家、 山田彪太朗 選手 と 山田虎矢太 選手。

シュートボクシングでの日本チャンピオンでありながら、普段は会社員として両立した生活を送っている。

その背景には、格闘技という厳しい世界での努力と情熱、そして現実とのバランスを保つための精神力が息づいています

今回のインタビューでは、彼らのキャリアに迫るとともに、二人の個性的なキャラクターについても多く語っていただきました。

山田 彪太朗 (やまだ こたろう)

※写真左
所属:シーザージム
生年月日:2003年1月18日
身長:168 cm
出身地:東京都台東区
経歴:第7代SB日本フェザー級王者

山田 虎矢太 (やまだ こやた)

※写真右
所属:シーザージム
生年月日:2003年1月18日
身長:168 cm
出身地:東京都台東区
経歴:第15代SB日本スーパーバンタム級王者

双子だけどファイトスタイルは全然違う

ー直近のSNSの投稿で、イチゴ狩りに行かれた様子を拝見しました。いつも仲が良さそうなお写真などを投稿されてますが、今回のオフもしっかり楽しめましたか?

(※2024年4月21日のX投稿から)

彪太朗)イチゴ狩りは小学生以来、10年ぶりぐらいだったので楽しかったです。

虎矢太)最近、他の格闘技に出場している選手たちと仲良くさせてもらっていて、格闘家は普段減量している分食べるのが大好きなんです。チートデーには一緒にパン屋を巡ったりしているのですが、その流れから今度イチゴ狩りに行こうという話になって、メンバーを集めて格闘家でイチゴ狩りに行きました。

ーオフを充実させることも大切ですよね。直近の試合で言うと彪太朗選手が4月13日に栗秋 祥梧選手との試合で見事判定勝ちを収めました。改めて試合を振り返ってください。

彪太朗)ちょうど1年前の4月にシュートボクシングの日本タイトルを獲って、そこから3試合連続で対戦相手がタイ人でした。日本人と対戦した方が日本での今の立ち位置がわかりやすいので、日本人と試合をしたいなと思っていました。今回は念願の日本人との試合が出来、判定で勝つことができたので、純粋に嬉しかったです。栗秋選手は日本でも知名度のある強い選手なので勝つことができたのは、自分の中でも成長した部分かなと思います。

ー彪太朗選手の方が虎矢太選手よりも攻めていくファイトスタイルに感じます。対戦相手に関しては前もって研究して試合に臨むのでしょうか?

彪太朗)意外と、相手選手を研究して試合を組み立てるタイプです(笑) 特に今回の栗秋選手は本当にパンチ力が強く一発もらったら終わりの選手です。逆に言うと穴も多いので、もらわなければ勝てると試合中ずっと考えていました。

実際に一発もらった後はここで引くとまずいないと思い相手の懐で戦うことになりましたが、見せ場を作れたので結果的に盛り上がってよかったです。

2024年4月13日(土)に行われた栗秋祥梧 選手との試合では判定勝ちを収めた
(撮影・上岸卓史 引用元:TOKYOHEADLINE)

ー虎矢太選手は3月14日に大森 隆之介選手との試合で、残念ながら1ラウンドKO負けでしたね。バックハンドブローを受けてその後、意識がなくなったとのことでしたが、その後大丈夫でしたか?

虎矢太)試合直後は完全に意識がなくなり失神した状態で担架に運ばれました。今も担架で運ばれた時の記憶がなくて。流石に1週間ほどは安静にしてました。大森選手とは身長差が10cmほどあるので、本来であればもっと前に出て自分の距離に持っていくところを攻撃を警戒して引いてしまったことが今回の敗因の一つだと思っています。

ー試合を見ていると大森選手の手足が長く、間合いが非常に重要な試合だったかと思いますが、実際、試合をする前から身長差は警戒していましたか。

虎矢太)していましたが、プロになってから今まで負けたことがなかったので、何とかなるだろうという根拠のない自信もありました。いざ試合をしてみると、初めて相手の攻撃がこんなに効いてくることに驚き、反対に自分の攻撃が当たらない距離で試合が進み、うまく組み立てることができませんでした。

2024年3月14日の大森 隆之介選手との試合では1ラウンドKO負けを喫した
(写真:山口比佐夫 引用元:ENCOUNT)

ーお二方は格闘家でもありますが、TikTokやYouTubeでも精力的に活動されていますね。どちらからやってみようと提案されたのですか?

彪太朗)もともとInstagramで「食べてみた」動画を僕1人であげていたのですが、周囲から好評で、YouTubeもやってみなよと言われたのをきっかけに、虎矢太に2人でやろうと誘いYouTubeも始めました。編集は時間がある方がしています。

ーSNSを始めてみて、周囲の人からの反応はいかがですか。

彪太朗)とにかくTikTokの効果はすごかったです。格闘技会場に来ているお客さんにも、「TikTok見ています!むしろ格闘技していたんだ!」と言われます(笑) 街でも声をかけられることもあるので、TikTokは本当に今の時代だなと思います。

Tiktokのアカウントではフォロワーが21,000を超えている
(※2024年5月現在)

ジムでべた褒めされたのが嬉しくて格闘技を始めました

ー過去の事もお聞きしたいのですが、幼少期の頃はどのような子供でしたか。その頃にハマっていた趣味とかありましたか?

彪太朗)習い事も何もせずとにかく遊んでいたいタイプでした。外の公園でひたすらみんなで鬼ごっこをしたり、サッカーをしたり、アクティブに遊んでました。

虎矢太)僕も同じですね。特別何かに興味があったわけではないですが、体を動かすことは小さい頃から好きでした。

ー勉強の方はどうだったんですか?

彪太朗)自慢できる学力はないですね(笑) 結構苦手で…だから習い事もやりたくなかったです(笑)

虎矢太)僕は虎太朗よりも勉強が苦手で、体育に打ち込んでいました(笑)

ー子供の頃から仲の良い双子でしたか。

彪太朗)仲は良かったですが、幼いころは本当に些細なことで頻繁にケンカをして、殴り合いも多かったです。

虎矢太)すぐに仲直りはしますが、小さいことで取っ組み合いのケンカになったり、学校で殴り合いのケンカをしたこともあって周りに止められました(笑)

ーお互いから見て、お互いの性格はどう思いますか。

彪太朗)僕から見ての虎矢太は、本当に楽観的です。それが格闘技でいい方向に働いているときもあるので何とも言えませんが、ふわふわしていると感じます。

虎矢太)自分でも、自分の方がアバウトな部分が多いなと思います。虎太朗の方が真面目でしっかりしているし、いい意味でも悪い意味でも神経質な部分があります。

終始笑いが絶えずにインタビューは進んでいった

ー格闘技を始めたのはジムで体験した日にべた褒めされたのがきっかけとお聞きしました。

虎矢太)両親が格闘技を観るのが好きで家のテレビでよく観ていたので、昔から身近な存在ではありました。小学3年生の時に、とりあえず体験にだけ行こうと2人でシーザージムに行ったら、初日でべた褒めしてもらったのでその気になり、即日入会しました。

彪太朗)今となっては会員を増やすための作戦にまんまとはめられましたね(笑) 格闘技に関しては、始めた当初から弟の虎矢太の方がセンスがあります。虎矢太の一番の武器はパンチ力ですが、それ以外の闘い方も器用にできます。

ーシュートボクシングを始めて、性格や私生活に影響は出ましたか。

彪太朗)シーザージムで礼儀を厳しく教えられてきたので、礼儀正しくなりました。

虎矢太)何か一つ頑張る、頑張ったことによって結果がついてくる経験をすることによって、人間として成長できた部分があると思います。周りで頑張っている人のこともリスペクトできるようになりました。

格闘技を通じて礼儀を学び、強さを磨いていると語る

ー格闘技の楽しさってどんな所に感じますか?

虎矢太)練習も減量もきついし、正直つらいことも多いのに、どうしてこの競技を始めたんだ!?って思うときももちろんあります(笑) でも試合に勝つとそれを忘れるくらい楽しいです。今では格闘技がない生活は考えられないです。

彪太朗)楽しいことだけじゃなくつらいことの方が正直多いスポーツですが、試合に勝てば嬉しいし、暇な時に気づいたら格闘技の動画を見ているので、自分はこんなにも格闘技が好きなんだなと気づかされます。

格闘技以外の世界を知ることも大事だと思ってる

ーいつ頃からプロを目指し始めましたか?プロを目指したきっかけがあれば教えてください。

彪太朗)最初は全くでしたが、アマチュアの試合で勝てるようになったり、プロの試合を見に行くようになったりすると、プロ選手って輝いていてかっこいいなと思うようになり、少しずつプロを意識し始めました。

虎矢太)最初はシュートボクシングジムに入ったものの、シュートボクシングがどういうスポーツなのかもわからないような状態でした。僕も同じで試合に出たり、試合を観に行くようになったりして少しずつシュートボクシングを理解し始めて、輝いている選手に憧れてプロを目指すようになりました。

ー今は格闘技とは別に仕事にも就かれています。他の格闘家はアルバイトをしながら格闘家として生活をしている人も多いですが、正社員として就職したのは何か理由があったのでしょうか。

彪太朗)格闘技はもちろん大事ですが、格闘技以外の世界を知ることも大事だと思っています。格闘家としての寿命はあまり長くないため、その後の人生を考えたときにしっかり外の世界を知ろうと思いました。今は毎日小学校に行って、小学生のために給食を作っているのですが、試合に勝った翌日はノリノリで作っていますよ(笑)

虎矢太)自分は高校卒業時に真剣に進路について考え、今まで格闘技しかやってきてなかったので、格闘技が終わった後の人生が不安になりました。格闘技を続けることを前提に仕事をしようと思い、自分の体や経験にもつながるサプリメントや健康食品、プロテインを作っている会社に正社員として入社しました。

ー格闘家としての生活と、仕事の両立は大変そうですね。実際、両立してみていかがですか?

彪太朗)働き始めて1年経ちますが、最初の4月は給食を作りながら泣きそうになるくらい忙しかったです。ちょうど4月にタイトルマッチを控えていて、このままの状態でタイトルマッチができるのかな?と思ったこともありましたが、それを乗り越えて、日本チャンピオンになったときに、いい経験が出来たし、これ以上大変なことはないだろうと思いました。

虎矢太)今は会社の社長はじめ、みんなが応援してくれていて、格闘技に集中できるように早めに上がらせてくれるようになりました。前回の失神してしまった試合にも社長が応援に来てくれていたのですが、失神したこともあり体調の事を心配して頂き、試合翌日は休みを取らせてもらいました。僕はもう勤続4年目になるのですがフルタイムでの仕事と練習の両立は本当に大変で、何回も辞めたいと思いました。

日本チャンピオンが人生のターニングポイント

ー身長も体重もほぼ同じですが、階級は1つ違いですね。これはあえて変えているのでしょうか。

彪太朗)あえてです。日本チャンピオンは1人しかいないので、どうせならお互いで日本一になりたいよねとずらしました。

虎矢太)ただ、本来身長も体重も全く一緒なので僕の方が減量がだいぶきついです…(笑) 兄より弟の方が下の階級がいいかなというイメージで階級を決めました。

双子でRDXのブランドアンバサダーを務めている

ープロになってターニングポイントとなった試合や出来事があれば教えてください。

彪太朗)僕はもともと無駄に自信があって、デビューしたときから俺ならやっていけるだろうという気持ちがありました。一番のターニングポイントで言うと日本チャンピオンになり、ベルトを巻けたことは自分の中で自信になりました。

虎矢太)僕もデビューした頃から日本でチャンピオンになってやるという気持ちで、ずっと自信満々でした。一昨年の年末にRISEという団体での試合にKOで勝てて、他団体に出てもしっかり倒して勝てる俺、強いなと思いました。RISEは純粋にパンチと蹴りの技術での勝負なので普段とは違う部分があるのですが、しっかり結果を残せたので自信になりました。

ーまだ試合が終わったばかりですが、次の試合は決まっていますか。

彪太朗)未定ですが、多分次はシュートボクシングです。試合は3ヶ月に1回ぐらいのペースで年4回を予定しているので、リカバリーと調整が大変ですね。

虎矢太)僕も未定ですが、シュートボクシングの可能性が高いです。現状、シュートとRISE以外の団体に出ることはないです。

ー今後のキャリアや目標を教えてください。

彪太朗)シュートボクシングという格闘技に誇りを持っているし、シュートボクシングが一番強いと思っているので、自分がシュートボクシングを代表して日本を統一して、本当の意味での日本一になることが今の目標です。他団体のチャンピオンや強いと言われている選手たちを倒していくのが今の目標です。

虎矢太)僕は前回負けてはしまったのですが、気持ちは全く折れていません。同じくこの階級でシュートボクシングが一番強いことを証明するために、様々な団体のチャンピオンたちを倒して統一したいというのはあります。ゆくゆくは世界チャンピオンになりたいので、ONEなどの試合にも出たいですし、世界で最強と言われている選手とどの団体でも良いので闘いたいです。

ー最後にお聞きします、2人にとってプロとは何でしょうか。

彪太朗)強いのはマストです。あとは魅せる試合をすることです。お金を払って見に来ていただいている人たちを満足させられるパフォーマンスをするのがプロだと思っています。

虎矢太)僕もプロとしてやっている以上、お金をいただいて試合をしているという大前提があるので、アマチュアや一般の人にはできないような魅せ方で楽しんでもらえる試合をするのがプロだと思っています。お金をいただく対価として、試合に価値を与えるのがプロの使命だと思っています。

ー21歳と若いお二人の輝かしい未来を応援しています。ありがとうございました!

編集後記:インタビュー中、私の21歳の頃と比べて、なんて出来た子達なんだ!と強く思いました。話せば話すほど二人のキャラクターの違いが見えてきて、最後には二人の顔が全然違うように見えてきました(笑) 良い意味で格闘家のイメージを変えてくれそうな二人。山田ツインズの今後が楽しみで仕方がありません!(RDX Japan編集部)
インタビュアー  上村隆介

山田彪太朗

山田虎矢太

RDX sports japanは
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