GLORY BEYOND DREAMS 奥山 雅仁選手 インタビュー

インタビュー | 2024.6.14 Fri

最初はキックボクシングが嫌いだったんです

彼は2024年2月にONE Championshipに初出場をした格闘家、奥山 雅仁 選手。

プロ選手として活躍をする傍ら、鍼灸の資格を取得するため専門学校で勉学にも励んでいる。

『柔道をやっていたから今があるし、兄のおかげでプロも目指せた』

今回は、奥山 雅仁 選手の過去を振り返り、今後の目標についてお聞きしました。

奥山 雅仁 (おくやま まさと)

所属:OISHI GYM
生年月日:2003年10月11日
身長:175cm
出身地:愛知県春日井市
経歴:
CKC2023 -63kgトーナメント優勝
S-BATTLEライト級王者

初めて悔しさで眠れなかった、またあの場で戦いたい

ー今回、RDXアンバサダーの小川 翔 選手から奥山 選手をご紹介頂きました。小川 選手から若手で勢いがあってイケメン選手ですと紹介されましたよ!小川 選手とは長い付き合いがあるんですよね。どのような印象を持たれてますか。

奥山)僕には10個上の兄がいるんですが、兄がアマチュアの時に何回か翔 君と試合をしていて、それで早く馴染めた感じですね。ただ翔 君とは階級も同じなのでスパーリングもしたことあるのですがフルボッコにされました(笑) とにかく、脚とか硬くてローとか蹴っても全く効いてる様子がなかったです(笑) 

ーあれだけ穏やかな人なのに格闘技となると別人に変わりますもんね(笑) 改めて奥山 選手の前回の試合についてお聞きしたいのですが、2024年4月21日に行われた岩城悠介 選手との試合では判定勝ちを収められています。改めて、この試合を振り返っていただけますか。

奥山)対戦相手が自分よりも1個下の階級の選手に急遽変わり、しっかりダウンを取って倒すべき相手だったと思います。試合内容は僕的にもジムの会長からしてもあまり良くなかったです。攻めて倒しきるところ、落ち着いて倒すことが課題となった試合でした。

ー試合にはどのような事を想定しながら臨まれたのでしょうか。前半はしっかり相手を見て試合をしているようには見えたのですが、後半勝負の予定でしたか。

奥山)全然そんなことはなくて3ラウンド目までするつもりはなく、2ラウンドまでで倒すつもりでした。打撃の距離が合わなかったりして、神経質になって上手く入れなかったので、そういうところを試合中に修正出来たら、もう少し早めにダウンを取れていたかなと思いました。

ー2月にONEに初参戦しましたが惜しくも敗北となりました。ONEへの出場の経緯、参戦した感想をいただけますか。

奥山)まずはONEに出場できたこと自体が貴重な経験でした。たまたま僕の階級の日本人をONEの運営が探していたようで、試合の話をいただき、自分にとってチャンスだと思い試合に臨みました。ただ試合に負けた夜は、初めて悔しさで眠れませんでした。でも気持ちは折れてはいませんし、また勝ち続けてONEの舞台に立ちたいと思ってます。

ーONEの大会の雰囲気や、会場の雰囲気は日本の大会と比べて独特ですが、実際戦われてみていかがでしたか。

奥山)今までに感じたことのないくらいの大歓声にテンションが上がりましたが、とても緊張感もありました。初めての海外の試合で、会場の空気に飲まれたら終わりだなと思っていたので、入場の時からそれは意識していました。

ー多くの日本人選手がONEに挑戦する中、なかなか勝てていないのが現状としてあります。どのような要因があると感じますか。

奥山)ONEという大きい舞台で、今までにないくらいの緊張をして、自分の本来の力を出せない選手も少なからずいると思います。このような雰囲気の中で戦い慣れていくことが大切だと思います。

嫌々だった柔道もいつの間にか好きになっていた

ー海外の試合も今後多く経験出来ると良いですよね。では奥山選手の過去を振り返って頂きたいのですが、幼いころはどんな子供でしたか。スポーツは子供の頃から好きだったのでしょうか。

奥山)生まれは愛知県春日井市というところです。幼い頃から外でドッジボールやサッカーをして遊ぶことが好きでした。4歳から柔道をメインにスポーツをしていましたが、中高ではサッカー部にも入っていました。

ー柔道を始めた理由は何でしょうか。

奥山)最初は空手をしていた父に連れられて無理やり始めることになりました(笑) 僕は6人兄弟で、兄弟全員、柔道や空手をしています。最初は嫌々だったのですが、だんだん柔道が好きになって、1番好きなスポーツを問われると柔道と答えていました。

ー柔道をしていた中で印象に残っている思い出はありますか。

奥山)自分は運動神経もあまり良くはなかったので、柔道をしていなかったら今の自分はないと思っています。柔道を通して礼儀も身につけることができました。

ー柔道、サッカー以外には何かされていましたか。

奥山)父に勧められ、小5からキックボクシングを始めましたが、キックボクシングは痛いしつまらないし、とても嫌いでした。当時は全然練習にも行かず、あまり練習をしない状態で試合に出ていました。

ーそんな嫌いだったキックボクシングにのめり込んだ理由は何だったのでしょうか。

奥山)元々、柔道推薦で高校進学を予定していたのですが、進学直前に兄がプロのキックボクサーとして活躍している姿を見て「僕もキックボクシングのプロになりたい!」と思いました。進学先を地元の高校に変更し、高1の時はコロナの影響もありジムには所属はしていませんでしたが、兄が通っていたジムで一緒に練習をしていました。

ーお兄様の影響が大きかったんですね。仲は昔から良かったのでしょうか。

奥山)10個離れているので喧嘩もほとんどしたことがなく、仲が良いです。兄はシュートボクシングウェルター級のチャンピオンで、一緒に練習していた頃にはいろいろ教えてもらっていました。兄がいなかったらキックボクシングはしていなかったです。

お兄さんは第2代SB日本ウェルター級王者 奥山 貴大 選手

姉の影響で鍼灸の勉強をすることに決めました

ー兄弟で格闘技の話しが出来るのは良いですね。今は格闘家として活動している傍ら、針灸の専門学校にも通われていますよね。

奥山)そうなんです。僕は6人兄弟なのですが、姉が柔道整復師の資格を取った後に針灸も取っているんです。今は手に職を、と言われている時代なので、格闘家と並行して鍼灸師を目指しています。

ー他の勉強をすることで今後の選択肢も増えますもんね。格闘家のプロになることを意識し始めたのはいつ頃ですか。

奥山)高校に上がるタイミングです。プロに上がって兄のようになりたいなという思いがあったので、その時から頑張ろうと思いました。家族も抵抗なく受け入れてくれ、今でも会場に来て応援してくれています。

ーデビュー戦で印象的に残っているエピソードはありますか。デビュー戦は高校生の頃ですよね。

奥山)そうなんです。高校2年の夏にOISHI GYMに入り、1年後の高校3年生の夏、18歳の時にはデビュー戦を行いました。結果は判定勝ちだったんですが、初めてのプロ戦だったということもあり減量経験があまりなく不安を感じてました。その結果、全く食べずに試合よりも早く体重を落としすぎてしまったんです。体重をコントロールすることの難しさを感じましたし、先輩にもっと食べろと突っ込まれましたね(笑)

ー減量中にもっと食べろと言われるのは珍しいですね(笑) 普段から食生活には気を使っていますか。

奥山)小さい時から食が細い方だったので、しっかり食べるようには意識しています。でも減量中でなければジャンクフードもあまり気にせず食べてますよ(笑) 食事内容を気にするのは試合が近づいた時くらいです。

誰が相手でもダウンを取りきる試合をしたい

ー今後の目標はRISEのベルト獲得になりますか。

奥山)今はランキングに入れてもいないのですが、RISEのベルトを狙っていきたいと思っています。ランキングに入ってベルトを獲るまで最低でも10試合は必要なので、怪我に気をつけてコンスタントに試合に臨みたいです。

ー過去にはベルトを獲得されています。印象に残っているベルトはありますか。

奥山)今まではS-BATTLEのライト級王者と、CKC1dayトーナメントのベルトを持っています。形として、ベルトを獲れて良かったのかなと思いましたが、最初のS-BATTLEのベルトを獲った時は、試合内容が悪すぎて、このままじゃやっていけないなという気持ちがあり、素直には喜べませんでした。会長にもベルトは獲れたけど試合内容については怒られて、このままじゃダメだと思ったのを凄く覚えています。現在も課題ですが、相手のレベルに合わせて試合をしてしまっているので、しっかり勝ち切らないといけないなと思います。これから1つ上に抜けるためには、誰が相手でも、ダウンを取りきる試合をしないといけないなと感じています。

S-BATTLEのライト級王者となったが
試合内容は納得いくものではなかった

ー潜在的な能力はあると思うので、それを存分にリングの上で出せるように頑張っていただきたいです。最後にお聞きしますが奥山 選手にとって、プロとは何でしょうか。

奥山)試合に勝つのは当たり前ですが、お客さんも、ファンの方も、応援してくれている人達を楽しませる試合をしないといけないと思います。勝つのは前提で、そこからどのような試合を見せるかが大事なのかなと思います。

ーまだまだ若いですしたくさん挑戦をしていってください!今回はインタビューを受けて頂きありがとうございました。

編集後記:顔立ちも整っているし、パーソナリティも真面目な選手なので結果が出てくれば自ずと人気が出てくる選手ではないでしょうか。「悔しくて眠れなかった」経験を糧に次は「嬉しくて眠れなかった」と言える日が来ることを願っております!(RDX Japan編集部)
インタビュアー  上村隆介

奥山 雅仁

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